無垢の床材の欠点と長所

 無垢フローリングを使用するにあたりメリットやデメリットを理解することは、納得できる床材選びをする上で最も大切なことです。無垢フローリングの特徴を理解することは無垢の木の特性を理解することとも言えます。長年利用し続ける大切な床材選びで納得して使い続けるためにもぜひご参照ください。

無垢フローリングの欠点やデメリット

 まずは一般的に無垢材(フローリング)の欠点として挙げられる特徴としては以下の4点が挙げられます。

曲がりや割れの発生

フローリングのひび割れ  無垢の木は伐採後そのまま放置しておけば、曲りや割れといった形状の変化が発生します。原因としては、木材内部に含まれた水分が時間をかけ乾燥を経て安定する過程で発生します。

 フローリングの製造工程においては、乾燥釜による強制乾燥を施し12%~15%程度工場出荷段階)まで含水率を落として製造されますが、鉄やプラスチックのように均一化することはできません。ゆえに無垢フローリングは一枚毎に若干の形状の誤差や曲りなどの特性があります。

 形状の安定性の誤差は樹種や等級、商品の乾燥度合いによっても異なります。 近年では乾燥技術の発達と加工技術、検品精度の向上に伴い割れや極端に曲がった商品等の混入は大変すくなっていますが、木材の特性を考えた上では施工中や施工後に発生する可能性もあります。現場での施工の際には、やはり無垢の木の特性を理解した施工と熟練した施工者の技術が必要です。無垢フローリングは無垢材の特徴を理解した熟練した技術者の技術と組み合わさって初めて床材としての機能や魅力を発揮できる商品と言えるでしょう。

フローリングの隙間

透いてしまった無垢フローリング 無垢フローリングの施工後に施工したフローリングとフローリングの間に隙間が生じる事がありますが、以下の要因が考えられます。

A:商品を製造する過程で強制的に無垢材を乾燥させ形状の安定を図りますが、施工後の時間とともにフローリング内部の木材組織が収縮することによって隙間が生じます。これは無垢材が性質上、乾燥を経て安定するという性質を持っているために発生する現象です。

B:無垢材の特徴である「吸湿効果」により一時的に現場での湿度を木材が取り込みフローリングが膨張することによって発生するフローリングの「突き上げ現象」を避けるために施工する際にフローリングとフローリングの間に0.3~0.5mm程度の隙間を意識的に設ける施工手順を踏みます。あくまで無垢フローリングの「膨張」による突き上げ現象を避けるための正しい施工手順です。

 上記の要因は無垢材の性質と無垢フローリングの正しい施工手順を踏んだ場合に発生します。ただし極度の隙間が生じる場合にはフローリング材の製造過程での乾燥不足や正しい施工手順を踏んでいない場合(防湿対策等のの不足)、生活環境下で問題(エアコンやストーブによる直接的な乾燥や温度変化、床暖房)などが考えられます。

傷やシミが付きやすい

ソリッドタイプフローリング図解 無垢フローリングを施工した後、生活していく中で傷やシミが付くということはあるでしょう。そういった日々のお手入れが気になる場合にはフローリング表装面に塗膜系塗料を施した「UV塗装商品」を採用したほうが良いでしょう。最近ではフローリング表装面の強度向上や美化を目的とした現場でのフロアーコーティングなどもあります。ただし、無垢の木である以上鋭利な刃物、重量物による衝撃を受けた場合には傷は付きます。

床鳴り

ソリッドタイプフローリング図解 無垢フローリングの上を歩いた際に床が「ギシギシ」という音が発生する現象を床鳴りといいます。床材の床鳴りの原因はフローリング材と下地材(合板)の接着不良やサネ部分の接触によることが考えられます。

 下地材(合板)と無垢フローリングの接着には、専用釘やウレタン系ボンド(弾性接着剤)の併用での施工が必須です。サネ部分の接触による床鳴りの場合はある程度の時間の経過によってフローリングが収縮しておさまっていきます。

  上記以外の原因としては下地材(合板)と基礎(ネダや大引)の固定不足により下地が安定していないなどの原因も考えられます。床鳴りは新築時に発生するケースが多いのですが、時間の経過とともにならなくなることもありますので軽微な場合であれば様子を見ても良いかもしれません。

無垢フローリングの長所やメリット

 当然ですが、無垢フローリングンには欠点を補って余りある様々な長所や利点もあります。

急激な温度変化や不快な湿度、過乾燥から守ってくれる

無垢フローリングは天然の湿度調整を持つ 無垢の木を多く利用した空間には目に見えない癒やしや優しさがあります。木材は鉄や陶器に比べ熱伝導率が極端に低いという特性を持っており、それゆえに住宅に使用した場合には外部からの熱や寒さから私たちの体を優しく守ってくれます。

 熱いお味噌汁を入れた木のお椀を想像してみてください。お椀の中身は熱くても木の器は手で持てないほど熱くなることはありません。同様に無垢の木で包まれた生活環境は私たちの体を急激な温度の変化から優しく守ってくれるのです。 不快な湿度や急激な乾燥を軽減する効果もあります。

 無垢の木は、成長していく過程で根から水分や養分を吸い上げ蓄える為に無数の導管や細胞があります。乾燥した木材にはその導管が空気層の役割を果たし、空気中の余分な湿度を吸ったり、過度な乾燥した状態においては湿度を放出する天然の湿度調整機能が備わっています。だから、住んでいるだけで私達はその空間から心地よいという感覚を感じることができるのです。

無垢材ならではの快適性と肌触り

無垢の床材特有の快適性さ 無垢フローリングの上を素足で歩いた際の肌触りや踏み心地は、私たちの生活に安らぎと心地よさを提供してくれます。木材の内部には成長する過程で発達した無数の導管があり、乾燥を経てそれらが空気層として存在しています。鉄やコンクリートにはない「程よい硬さ」と「温かみ」を私たちの生活に提供し続けてくれます。

 杉や松といった針葉樹などの無垢フローリングは一般的には柔らかく傷がつきやすいという弱点がありますが、日常生活の中で私たちの体にかかる荷重を床材が吸収してくれるため「快適性」という面では非常に優れています。

 木材の樹種を大きく2種類に葉の形状で分けた場合「針葉樹」と「広葉樹」に分けることが出来、一般的には杉や松、桧などの「針葉樹」は柔らかく肌触りも優しいのが特徴です。ナラ(楢)や栗、カエデ(楓)などの広葉樹は針葉樹と比較して硬く「耐久性」に優れています。

視覚的な魅力

デザイン性の高い部屋づくりの助けとなります。 無垢フローリングは自然の産物であり、その色や杢目の模様は一枚一枚が違います。その違いにこそ無垢フローリングの視覚的な魅力があると言えます。

 一見不揃いな木目、ムラがある色調は、普遍的に自然界に存在し続け ているものばかりです。私たちが無垢の木を視覚的に「美しい」「落ち着く」といった感情を抱くのは森や山など自然と共に生き続けてきた人間の本能だとも言えます。

 目に優しく、心を癒してくれる無垢の木の表情が私たちの視覚に魅力的に感じるのは当然だと言えます。無垢の木は、そこにあるだけで私たちの五感を優しく包み視覚的に美しいと感じさ-せる魅力を持っています。

目に見えない「香り」を楽しむ

無垢の床材特有の香り 無垢材には、本来それが持つ香りを楽しめるという魅力もあります。無垢の木の精油分(フィトンチッド)は、精神を落ち着かせ気分を和らげてくれる効果があり、アロマテラピーなどの原材料としても幅広く利用されています。

 森林浴などをした際に心が落ち着き、リフレッシュできたという経験はありませんか? これも森の木などが発する大量の木の精油分(フィトンチッド)の効能だと言われています。

 香り成分だけに限らず、人間が不快に感じる匂いを消臭、脱臭してくれる効果もあります。目に見えないからこそ住んでみてその大切さを実感する方も多いのが無垢の木の「香り」なのです。 多くの化学製品に囲まれることが多い現代だからこそ無垢の木が与えてくれるやすらぎの価値は年々高くなっていると言えます。

時と共に増す本物だけの「味わい」と「経年美

経年美という美しさ 本物の無垢の木材を使用したフローリングにはアンティーク家具のような魅力的な佇まいがあります。表面に帯びた飴色の艶や時と共に際立つ木目の美しさは本物の木だけが持つ美しさと価値があります。

 数十年~数百年かけて育った木材は、育った期間と同様の年数の寿命があるという考え方があります。無垢の木の表面的な美しさは時と共に変化してきますが、長い時を経て生き続けてきた木材が本来持つ「力強さ」や「美しさ」が木材からにじみ出ているから時を経てなお人々が美しいと感じるのかもしれません。

 本物の無垢の木が使用された家具や楽器など無垢フローリング以外にも時を経て増す木の魅力は、「経年美」という言葉で表現することができます。常に新しい物を造っては壊すという行為や価値が見直され、良い物を手を加え大切に長く使い続けるという価値が近年では増してきています。無垢フローリングには、時と共に増していく本物の木が持つ魅力「経年美」があります。

 無垢の木の欠点と長所は表裏一体の側面が多いのです。良い面もあれば不都合な面もありますが、その特徴を理解して選択・使用することが大切だと言えます。床材選びの参考にしていただければ幸いです。

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