板目・柾目の違いとは?それぞれの特徴について解説
2024.08.05
みなさんは板目・柾目という言葉を聞いたことがあるでしょうか。昔から木材を利用した建築が多い日本では、木材に関する専門用語が多く使われてきましたが、板目・柾目もそのひとつです。
床材だけではなく木材を扱う業界ではなにかと目にする言葉ですが、正確に意味を理解できていない方も多いのではないでしょうか。
本記事では板目・柾目の概要についてはもちろん、床材探しの際に役に立つ知識まで、細かく解説していきます。
1.板目・柾目とは
板目・柾目とは木目の特徴を表す言葉です。木材の切り出し方によって現れる木目の印象が大きく異なるため、板目と柾目に区別して呼ばれるようになりました。このように木目の種類を細かく区別し、名前をつけるという感性は、古くから木材に身近に接してきた日本人ならではのものです。
・板目
板目とは、丸太の断面を円として考えたときに、木材を接線方向に切り出した際に現れる木目のことを言います。山型や波のような形の曲線模様がよく現れ、木目が不規則なのが特徴です。
・柾目
柾目とは、木材を丸太の中心から放射状に切り分けたときに現れる木目です。年輪の模様が平行に現れるため、直線的ですっきりとした木目が現れます。
2.板目・柾目の特徴
板目と柾目は製材の方法をはじめとして、見た目や機能性まで多くの点で異なります。さまざまな観点から板目と柾目の特徴を比較してみたいと思います。
・板目の特徴
板目と柾目は製材の方法が異なるので、価格にも違いがあります。板目は木材の大部分を製材できるため、丸太の一部からしか製材できない柾目と比較して安価に流通しています。
また、反りや変形に対する耐性も、繊維の方向などによって伸び縮みの割合が変化するため、板目と柾目で異なります。板目は柾目に比べて反りや変形に対する耐性が低いという特徴があります。
木目は山型、タケノコ型などと形容される曲線的な木目が現れます。柾目以上に変化に富んだ木目が現れ装飾的な用途に向いているため、テーブルの天板やお盆の板などに使われることがあります。
・柾目の特徴
柾目は丸太の中心から放射状に製材するため端材が多く出るうえ、そもそもある程度の大径木からしか製材できないという制約があります。その分希少価値も高く、結果として板目と比較して高価で取引されることになります。
一方で、反りや変形に対する耐性は板目以上に高いという特性を持ちます。すし桶やお櫃などには、水分を吸ったときの変形が少ないよう、柾目の木材が使用されます。
木目は直線的ですっきりした印象で、その見た目の美しさから高級な和室などによく利用されています。
3.無垢フローリングの板目・柾目
フローリングを選ぶ際にも板目・柾目による違いは当然出てくるのですが、実際には板目・柾目をそれほど明確に区別して商品を選ぶことができないという実情があります。国産材のフローリングと外国産材のフローリングに分けてご説明したいと思います。
・国産材のフローリング
冒頭にも述べた通り、板目・柾目という概念は古くから木材に親しんできた日本人ならではのもので、もともとは杉やヒノキなどに代表される国産材に対して使われていた言葉です。国産材のフローリングには板目のみのフローリングや、柾目のみのフローリングなど、板目・柾目の区別がはっきりしたものが多くあります。
ただ、柾目のフローリングは樹齢がかなり高い大径木からしか製材できないため、価格がかなり高価な傾向にあります。
・外国産材のフローリング
外国産材のフローリングの多くは海外で製材され日本に輸入されるため、板目と柾目が混ざっているものがほとんどです。これには、床材以外の用途で使用された木材の残りが床材として利用されているため、柾目で統一されたフローリングを製造することが困難であるという背景があります。したがって、外国産材で柾目のみのフローリングというのは、ほとんど流通していません。
しかしながら、板目・柾目にはそれぞれにメリット、デメリットがあるため、板目・柾目が混ざったフローリングは、変形に対する耐性や価格などのさまざまな面でバランスが取れているともいえるのです。
また、見た目の印象についても、板目・柾目が混ざっていることで動きが生まれ、無垢らしい表情を見せてくれるという一面もあります。
結局のところ、こうしたバランスの良さが、板目・柾目が混ざった外国産材が広く日本で流通している理由なのだと思います。
キャスオンラインで販売するフローリングはすべて外国産材のフローリングであるため、板目・柾目が混ざっている商品です。
4.板目・柾目以外の木目について
板目・柾目のほかにも関連して使用される用語が多くあります。今回はそのうち最も関連の深い、いくつかの用語について解説していきたいと思います。
・追柾(おいまさ)
追柾とは板目と柾目の中間的な木目のことをいいます。板目と柾目の中間的な箇所を切り出すことで製材されます。
木目の印象もまた板目と柾目の中間的なもので、柾目の木目が直線的で整っているのに対し、追柾の木目は斜めに流れるような動きを見せます。
・杢目(もくめ)
丸太を大根の桂剥きのように樹木の表面に近い部分から削っていくと、杢目(もくめ)が現れます。杢目は波型の丸みを帯びた木目が現れるのが特徴的で、装飾性が高いことから、テーブルの天板などに多く利用されています。
・四方柾(しほうまさ)
四方柾(しほうまさ)とは建材に使われる用語のひとつで、四面がすべて柾目になるように製材された柱のことを指します。かなり大きな丸太からしか製材できないため、非常に希少価値が高く、最高級の和室に使われる角材です。
5.まとめ
板目・柾目について解説してきましたがいかがだったでしょうか。このような分類は便宜的なものというよりも、木材に親しみ木目を楽しむ日本人ならではの感性が現れたものなのではないかと感じました。板目・柾目の区別に限らず、無垢フローリングの木目の変化を楽しむことは、古くから木目に親しんできた日本人の感性に非常に近い部分があるのではないかと思いました。
同じ木の種類であっても、木目の特徴に着目してフローリングを選んでみると、さらに床材選びの楽しみが広がるかもしれません。