【令和版】フローリングの塗装・ウレタン塗装の基礎知識
2024.11.15
無垢フローリングをはじめ木質系のフローリングを検討されている方の中には、塗装の種類に悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。無垢フローリングの塗装にはいくつかの種類がありますが、それぞれに特性があるためよく理解して選ぶ必要があります。今回は代表的な塗装でもあるウレタン塗装について解説していきます。
1.ウレタン塗装の概要
・ウレタン塗装とは
ウレタン塗装はウレタン系の樹脂を木材の表面に塗布し硬化させる塗装であり、無垢フローリングや複合フローリングの塗装として代表的なものの一つです。耐久性が高く比較的安価であるため、フローリング以外にも外壁塗装などにもよく利用されています。ウレタン塗装は木材の表面を樹脂の塗膜で覆う塗装であり、木材に浸透するオイル塗装とはさまざまな点で異なります。
・UV塗装とは
UV塗装はウレタン塗装と同じく樹脂系の塗装の一種であり、紫外線を照射することによって樹脂を硬化させる塗装のことをいいます。厳密にはウレタン塗装とは違う種類の塗装なのですが、同じ樹脂系の塗装なので基本的には似た性質を持っています。
UV塗装の方が表面の塗膜が厚くなるなどの違いはあるものの、フローリングの塗装に関してはオイル塗装との違いがより重要なので、今回は細かく区別せずにどちらもウレタン塗装として扱います。
2.ウレタン塗装のメリット
汚れやシミがつきにくい
ウレタン塗装は汚れやシミがつきにくいという性質を持っています。無垢フローリングは本来、木材の組織に水分が入り込んでシミになりやすいという弱点があるのですが、ウレタン塗装は木材の表面に樹脂の塗膜を作るため、木材の内部に水分が浸透しません。
耐久性が高い
ウレタン塗装は耐久性が高いという特徴を持っています。無垢フローリングのデメリットとして傷がつきやすいというポイントがあげられますが、ウレタン塗装は木材の表面を厚みのある塗膜で覆うため耐久性が高くなります。傷がつきにくい塗装をお求めの方は、ウレタン塗装を検討してみるとよいかもしれません。
メンテナンスが楽
ウレタン塗装のフローリングの最大のメリットといっても差し支えないのが、オイル塗装の場合と比較して、メンテナンスが楽である点です。一度塗装してしまえば定期的なワックスがけなどは必要なく、基本的には日常的なお掃除のみでお使いいただけます。長期間が経過して傷などが目立つようになったら再塗装が必要ですが、日常的なメンテナンスにはそれほど手間がかからないというのが嬉しいポイントです。
木材が変形しにくい
無垢の木材は湿気を吸ったり吐いたりする際に膨張・収縮を起こします。床材自体が膨らんだり縮んだりするというわけです。そのため、床材の間に大きく隙間ができてしまったり、逆に隙間が詰まりすぎて場合によっては突き上げを起こしてしまうことがあります。一般的には、施工の際にフローリング同士の隙間(クリアランス)を設けることで、突き上げを防止するのですが、それでも隙間が空いてしまうのは避けられません。
その点、ウレタン塗装は木材の表面を塗膜で覆うため、木材が湿気を吸ったり吐いたりするのを妨げることになります。結果的に、木材はそれほど膨張・収縮を起こさず、床材の変形を最小限に抑えることができます。
3.ウレタン塗装のデメリット
表面の質感
ウレタン塗装のデメリット一つ目は、木材表面の質感が失われるという点です。ウレタン塗装は表面に樹脂の塗膜を作るため、触り心地は樹脂の感触になります。無垢フローリングは木肌の質感を堪能できる点がメリットでもありますが、ウレタン塗装ではそうした感触が失われてしまいます。
また、無垢フローリングは木材の熱伝導率が低いため冬でも表面が比較的温かいのですが、ウレタン塗装では表面が冷たくなってしまいます。
再塗装が大変
ウレタン塗装の大きなデメリットのひとつに、再塗装が難しいという点があげられます。オイル塗装であればDIYでも再塗装が可能なのですが、ウレタン塗装の再塗装は工程が専門的であるため、業者に依頼する必要があります。
紫外線で変色する
ウレタン塗装に使用される樹脂は、紫外線の影響を受けて黄色く変色しやすい性質を持っているので、直射日光に晒される部分は特に注意が必要です。一度変色してしまうと色を元に戻すには再塗装するしかありませんが、先に述べたように再塗装も業者に依頼する必要があり、簡単ではないので注意が必要です。
傷が目立ちやすい
ウレタン塗装は樹脂の塗膜を形成するため、基本的には無垢の木材よりも耐久性が高いのですが、傷がついてしまうと白い跡が残り目立ちやすいのが欠点でもあります。また、変色と同様に、傷がついた際は再塗装する以外にもとに戻す方法がないので、DIYで再塗装ができるオイル塗装と比べてデメリットであるといえるでしょう。
木材の呼吸を止めてしまう
無垢フローリングのメリットのひとつに、お部屋の湿度を調整してくれる調湿の機能がありますが、これは木材が空気中の水分を吸ったり吐いたりして呼吸しているためです。ウレタン塗装は樹脂の塗膜を作るため、この木材の呼吸を止めてしまうというデメリットがあります。
4.無垢フローリングによく使われる塗装
現在は無垢フローリングの塗装はオイル塗装が最も一般的となっています。無垢の木材の質感を損なわないようにオイル塗装が選ばれることが多いようですが、10年前であればウレタン塗装の方がより一般的でした。これは、ウレタン塗装が無垢材の収縮や反りを抑え、さらに汚れに強いという特性を持っているため、無垢フローリングのデメリットを打ち消すことができることが理由です。
しかし、無垢フローリングが人口に膾炙したことで、無垢フローリングの楽しみ方も少しずつ変わってきているようです。以前は無垢フローリングのデメリットを打ち消すことを第一に塗装を選んでいたのに対し、近年は無垢材のデメリットを受け入れながらでも、自然な質感をより大事にするようになってきています。
これは、自然素材を活用した自然派住宅などが好まれていることに呼応した動きといえます。また、自ら床材を施工するDIYが流行したこともあり、手軽に再塗装ができるオイル塗装が選ばれるようになったという背景もあります。
結果的に、無垢フローリングの塗装はオイル塗装がスタンダードとなり、ウレタン系の塗装は選択肢のひとつとして残っているわけです。塗装ひとつとっても、時代の流れや空間のトンドによって変わっていくのです。
5.ウレタン塗装をご発注いただくお施主様の傾向
木材の質感を楽しめるオイル塗装が人気ではありますが、ウレタン塗装にもオイル塗装にはないメリットが数多くあります。ウレタン塗装の商品をご発注いただく方の傾向としては、以下のようなポイントがあげられます。
・水気を気にされる方
ウレタン塗装はオイル塗装と比較すると水に強い性質を持つため、無垢フローリングが水気に弱い点を気にされる方がウレタン塗装を採用されるケースがあります。無垢フローリングは水シミができやすく、水シミがつくのが心配だという方は、ウレタン塗装にしておくと耐水性が担保できてより安心してお使いいただけます。
・お手入れをカンタンにしたい
オイル塗装のフローリングは1年から1年半に一回、専用のワックスでお手入れをする必要があります。また、水シミなどもできやすいため、水気をこぼした際の対処にはウレタン塗装の場合と比べてさらに注意を要します。それに対して、ウレタン塗装のフローリングであれば、メンテナンスの手間をかなり軽減できます。
お手入れが面倒だという方や、事情があってお手入れが難しいという方は、ウレタン塗装にしておくことで、お手入れをより簡単にすることができます。具体的には、ご高齢でお手入れがそれほど行き届かないという方や、夫婦共働きでお手入れにかける時間が少ないなどの理由で、ウレタン塗装を選ばれるケースがございます。
・既存のフローリングとの兼ね合い
ウレタン塗装には光沢感があります。現在広く利用されているオイル塗装のフローリングとは表面の質感がかなり違うため、貼り分けなどを行う場合は注意が必要です。問題になりやすいのは部分的に貼り替えを行う場合です。
既存のフローリングがウレタン塗装の場合、部分的にオイル塗装のフローリングを施工すると、質感の違いでかなり目立ってしまうかもしれません。このような場合に、質感を揃えることを目的にウレタン塗装を採用されるケースがあります。これは、リビングと廊下のような分かれた空間であっても同様であり、空間の一体感が失われてしまうかもしれません。逆に既存の床がオイル塗装の場合ももちろん同様です。既存の床材との相性も塗装を選ぶ際に忘れずに考慮しておくようにしたいですね。
6.ウレタン塗装の商品紹介
➀ナチュラルな色味で人気のチェストナット無垢フローリング
fl-6043 チェストナット(本栗)無垢フローリング ナチュラルグレード[120ミリ幅/艶消しクリアUV塗装]
価格(税込): 5,347 円 / ㎡
[ 8,127 円 / ケース ]
ナチュラルな色味で人気のチェストナットのフローリングにウレタン塗装を施した商品です。はっきりとした杢目で無垢材としての主張をしっかりしてくれるチェストナットは、フローリング材として非常に高いデザイン性を持っています。120mmという幅広の規格なので、木目の美しさをより一層楽しんでいただける商品です。
➁高級感ある発色が魅力のチーク無垢フローリング
fl-1221 チーク無垢フローリング セレクトグレード[UV塗装]
価格(税込): 6,908 円 / ㎡
[ 11,328 円 / ケース ]
世界三大銘木の一つとしても名高いチークのフローリングのご紹介です。標準的な90mm幅、15mm厚のユニタイプ仕様で、ウレタン塗装なのでメンテナンス性にも優れた商品です。チークの深い発色とウレタン塗装の光沢感の相性も非常によく、高級感あふれる空間づくりに最適な商品といえるのではないでしょうか。
➂①王道で飽きのこない素材感オーク材無垢フローリング
fl-0978 オーク(ナラ・楢)無垢フローリング プライムグレード[艶消しクリアUV塗装]
価格(税込): 7,379 円 / ㎡
[ 12,100 円 / ケース ]
まずは、人気樹種オークのご紹介です。オークのフローリングは時代を問わず、長い間人気を誇る無垢フローリングの代表格です。ウレタン塗装の商品なので、簡単なメンテナンスで無垢フローリングの質感をお楽しみいただけます。幅はスタンダードな90mmで、あらゆる空間やインテリアとの相性がよい万能な商品です。プライムグレードの商品なので節はほとんど入っておらず、清潔感のある空間に仕上がります。
7.まとめ
ウレタン塗装について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。無垢フローリングの塗装に限っていえば話題に上ることの少ない塗装ですが、改めて見てみるとオイル塗装にはないメリットが多くあることに気がつきます。オイル塗装一択と思わずに、シーンや用途によって塗装を使い分けることなども検討していくと、最適な塗装選びができるかと思います。