特集でもご紹介しておりますが自社物件の改修に伴い田中工房さまと共にリノベーションの企画に取り組みました。今回手掛けた物件は福岡市中央区築42年のマンション、元々事務所仕様だった空間を居室兼テレワークスペースを完備したお部屋にリノベーションするといった企画でございます。…
fl-1225 チーク無垢フローリング施工事例
2024.11.28
11月も後半になり、空気の冷たさに冬の訪れを感じます。今回お邪魔したのは、時代の雰囲気を色濃く残す清川のレトロビル、新高砂マンション。福岡を拠点に不動産の新しい価値を提案し続ける、スペースRデザインさまが管理されている物件です。
採用していただいたフローリング
fl-1225 チーク無垢フローリング プライムグレード[UV塗装]
今回お使いいただいたのはチークの無垢フローリング。高級材の代名詞といっても差し支えないほど有名な木材で、マホガニー、ウォールナットとともに、世界三大銘木のひとつに数えられます。木材自体が油分を多く含んでおり、使い込むごとに艶を増していくフローリングです。
スペースRデザインさまは、古い建物の魅力を生かしながら、建物にコンセプトを与え再生していく「ヴィンテージビル」を数多く手掛けていらっしゃいます。今回訪れた新高砂マンションも、今年で築47年を迎える昭和の建物。建設当初からのレトロな部分を残しつつ、現代の感性に合うように丁寧にアップデートされており、古きを大切にする美学を体現しているかのような印象を受けました。
玄関ドアはレトロな作りのものが備え付けられていましたが、部屋ごとに塗装の色が異なりとても個性的です。実際に、室内も部屋によってかなり異なるテイストにリノベーションされているそうで、賃貸物件としてはかなり珍しいのではないでしょうか。
中に入るとさっそくフローリングの空間が目に入りました。もとは畳だったところをフローリングに張り替えたとのことで、たしかに障子や柱などに和の雰囲気が感じられます。しかし、柱の色とフローリングの色の相性が良く、和と洋どちらもありながら統一感すら感じさせる空間でした。柱は建設当初のものをそのまま残しているそうで、長い年月を経たことで得られる独特の魅力を放っていました。
フローリングの手前の空間は土間になっており、事務所としての利用を想定しているそうです。無垢フローリングの深い表情は、土間の無機質でモダンな質感ともよく合います。
今回ご採用いただいたのは90mm幅のフローリング。現在120mm以上の幅広のフローリングが人気傾向にありますが、一般的な幅のフローリングを施工したことで奥行きのある空間に仕上がりました。
近づいてみると、チークの赤みがかった発色と木目の美しさがよくわかります。ウレタン塗装の商品なので適度な光沢があり、フローリングの色味をより魅力的に見せてくれます。
障子とフローリングの意外な組み合わせですが、洗練されすぎず親しみやすい雰囲気を感じます。和モダンと聞くと高級でとっつきにくいイメージもありますが、よりナチュラルに仕上がっている印象を受けます。
照明もお部屋の雰囲気に合ったレトロなものが備え付けられていました。無垢フローリングとレトロは一見それほど近いようには感じませんが、天然木には予測できない表情の変化があるので、レトロでざらっとした空間にもよく馴染むのでしょう。
障子を開けるとバルコニーからの光が差し込んできました。フローリングが自然光に当たると、表情や色の濃淡がよりはっきりと見えてきます。
無垢フローリングは、一度貼ってしまえば数十年は使い続けることができるので、年月をかけて風合いの変化を楽しむことができます。経年美化といわれるように、時がたつにつれて美しくなっていくので、ヴィンテージビルのリノベーションにも非常に相性がいいように感じます。
私たちは「レトロ」という言葉に強く惹かれます。それは、モノが年月を経て風化し、傷ついていくことでしか得られない魅力があるからでしょう。大事に長く使い込むからこそ愛着が湧き、新しい価値が生まれるということを、肌で感じることのできる取材になりました。