無垢フローリングは隙間が気になる?無垢材の変化と性質

無垢フローリング 隙間イメージ

無垢フローリングは天然木の恩恵である木肌を感じる温かみや香り、シートやフロアでは再現出来ない杢目のコントラスト。又経年変化することで生活環境に適応し味わい深い親しみのある床材になるなど幾多の魅力に満ちております。

しかしながら無垢フローリングは絶えず変化し呼吸をすることから反りや膨張・収縮により隙間ができ、天然木が故に日常生活に潜むリスクやデメリットとして挙げられるポイントがあります。無垢材の性質を理解することで無垢フローリングをご検討の際、床張り後の住環境にてより長くお使い頂く為基礎知識としてご活用下さい。

目次

1.無垢フローリングの性質

無垢フローリングの性質を知るうえで合板フロアやシートフローリングなど工業製品の床材と比較し圧倒的な違いを挙げるとするとなれば、形状が変化するポイントと言えます。無論、100%天然素材の無垢フローリング、壁板、天井材、角材など絶えず形状は変化します。何故形状が変化するのか?変化していくとどういった結果になるのかを踏まえ解説していきたいと思います。

無垢フローリングの特徴木の呼吸

無垢フローリング 木の呼吸イメージ

木質が原材料となっている無垢フローリングは空気中の水分を吸収し放出する機能を兼ね備えております。又鉄や陶器に比べ熱伝導率が極端に低いということから断熱性能が高く生活空間に使用した場合には外部からの熱や寒さから私たちの体を優しく守ってくれます。人間や住環境にとって人が不快に感じる空気中の水分を木材が吸ったり吐いたりしてくれている為、適度な調湿機能で私たちの生活を優しく守ってくれます。

無垢フローリングの反り

無垢フローリング 反り

無垢フローリングのデメリットで挙げられる「反り」。無垢フローリングが反っているという定義は平たい無垢材の板が短手(横方向)に曲がる、波打つように湾曲する事象を指します。反る要因は多々御座いますが表面の塗料が摩耗したことでの含水率や油分の変化や経年による過度の重量で負荷がかかったり住環境や樹種による特性がポイントとなります。

無垢フローリングの膨張と収縮

無垢フローリング 膨張イメージ
無垢フローリング 収縮イメージ

無垢フローリングの変化として反りの次によく挙げられる変化が膨張と収縮、反りに関して要因は諸々ありますが膨張や収縮に関しては無垢フローリング内部の含水率が起因すると言われております。湿気が多い空間では無垢材が水分をより多く吸収することで膨らみ膨張といった現象になります。対して湿気が少なく過乾燥している空間では水分を放出が活発になる為収縮します。

無垢フローリングの隙間

無垢フローリングの隙間

膨張・収縮を繰り返していくと無垢フローリングの長手・短手方向に隙間ができます。隙間が発生した際お掃除をするときにホコリやゴミが貯まりやすい、見た目が良くなく不安になるなど挙げられますが無垢材が呼吸している証拠であり上手く調湿しているポイントとも言えます。また1年を通して隙間のでき具合が均等な収縮幅だと過乾燥や過度の湿気が無い空間と認識できる為住空間のバロメーターとしての役割を担ってくれます。無垢材の特性を理解し自然素材と向き合いつつフローリングの隙間の変化具合を観察してみましょう。

2.無垢フローリングの環境による形状の変化

無垢フローリング 環境による形状の変化

日頃の生活に一工夫したりケアするポイントを念頭に置くことでより長く自然素材の恩恵を堪能することができます。無垢フローリングの反りや収縮・膨張による隙間に関して解説していきましたが、住環境に潜むリスクを軽減するには無垢材にとって理想の環境を作ることで我々人間にとっても住みやすい環境づくりに対し期待できます。人間にとって良い環境を注視しがちですか無垢材問わず自然素材にとって良い環境とは?解説していきます。

無垢フローリングの季節による変化

無垢フローリングは季節によって伸縮や膨張、収縮を繰り返し変化していきます。3月から梅雨入りした5月、夏場にかけて横方向に膨らみます。雨季など湿気が多く、ジメジメした気候ですと空気中の水分を含み無垢材内の含水率があがると膨張する事象が発生致します。対して寒期がくると乾燥し空気中の水分量が少なくなる為含水率が下がる為木が痩せていき収縮といった事象が起こります。上図の通り無垢フローリングは季節性の変化が伴い日常生活では目視した際に木が太った、痩せた表情など確認をすることができます、ケアするポイントとしては梅雨入り前に浸透性オイル塗装のフローリングの場合表層が摩耗した際メンテナンスオイル・ワックスなどを施すなどし無垢材内部が水分過多にならないよう注意が必要です。

無垢フローリングを施工する際注意して頂きたいポイント

無垢フローリングは季節による変化に伴い施工する時期によって異なります。予めクリアランス(隙間)を入れることで膨張による突き上げや収縮による過度な隙間のリスクを抑えることができます。適切なクリアランスや対策方法をご紹介致します。

無垢フローリング クリアランス 図

寒季:10月~3月

温度が低く乾燥しやすい時期は無垢フローリングが収縮している状態です。翌年の4月~9月頃無垢フローリングの膨張に対応出来るようスペーサーを使用し、クリアランス設けましょう。
壁際等のクリアランスは5~7mm、床材の短手方向は名刺1枚分(0.2~0.3mm程)クリアランスを設けてネイラーとボンドで張り込みしていきましょう。掃き出し窓やサッシの収まり、敷居納めの場合などにもクリアランスを設けコーキングの処理を施してください。サッシ窓の結露による水滴が床面に達し床材を痛めるケース等も報告されていますのでご注意ください。

暖季:4月~9月

梅雨~夏期の期間は湿気が多い時期のため、無垢フローリングが膨張収縮している状態です。無垢フローリング材を開梱し、1~2週間程度置き現場の環境に馴染ませた後施工して頂くことをお勧めしております。4月~9月にかけて施工する際も隙間を詰めすぎると割れや突き上げのリスクが有る為一定のクリアランスを設けて施工しましょう。

無垢フローリングの日常生活で注意して頂きたいポイント

無垢フローリング 喚起イメージ

前項でも解説した通り住環境において過度の湿気や乾燥は無垢材にとって非常にリスキーな環境である為、常日頃お掃除の際に喚起をして頂くことをお勧めしております。定期的に居室内に空気の入れ替えを行い湿気が停滞しないようケアしていくことが重要なポイントです。居室内に湿気がたまるとカビの発生や無垢フローリングの反りや歪みの原因となる為充分にケアしていきましょう。

無垢フローリング 冬物家電

エアコン、ホットカーペットやオイルヒーターなど冬物家電を使用した際に無垢フローリングに影響がないか等よくお問合せ頂きますが、居室内が乾燥している場合加湿をし空気の入れ替えを行うことで過乾燥のリスクを防ぐことが出来ます。反対に加湿量が多い際除湿し喚起を施してください。無垢材にとって冬物家電と相性は良くなく、フローリング表面の割れや収縮(隙間)のリスクが有る為ヒーターやホットカーペットに関しては機器の下部に断熱マットを敷くなどして対策をしてください。

無垢フローリング キッチン部施工事例
無垢フローリング 窓サッシ部 施工事例

キッチン部や脱衣場など無垢フローリングを採用する場合は水切りマットをお使い頂くことを推奨しております。又出窓付近など雨や窓サッシ部の結露など腐食やシミの原因となるので、雨が入った場合はすぐ吹き上げる・マットを使用する、結露防止シートを使うなどしてケアしていきましょう。

3.隙間が発生しやすい樹種・発生しにくい樹種

一遍に無垢フローリングと称して調湿機能や反りや膨張、収縮を解説していきましたが勿論木の種類によって反りやすい、反りにくいなど樹種ごとの特性があります。よく樹種ごとに含水率や油分、生産地など分類し比較していきますが分かりやすいように今回は針葉樹・広葉樹など大きなカテゴリーに分けてご紹介いたしましょう。

隙間が発生しやすい樹種

杉 無垢フローリング
桧 無垢フローリング

隙間が発生しやすい樹種とご紹介するとネガティブな印象ですが反面加工がしやすく、温かみがあり我々日本人にとっても馴染みの有る樹種が針葉樹と言われております。針葉樹とは字の通り葉がとがり上方向にまっすぐ伸びていく木を指し代表的な樹種ですと杉や檜(ヒノキ)、松など無垢材に詳しくなくてもよく聞く木の種類。

杉や檜は柔らかい分空気を多く含み水分を多く取り込む性質がある為木自体の収縮の幅が大きいので変形しやすい、収縮しやすいカテゴリーに分類されます。柔らかい無垢材なので傷が付きやすいなどデメリットが挙げられますが、温かい、歩行の際に負担が無い等メリットがあります。

隙間が発生しにくい樹種

オークフローリング
チークフローリング
ウォールナットフローリング

広葉樹は名の通り葉が大きく横方向に大きく繁って行く木材の分類で、オーク(楢)やチーク、ブラックウォールナットなど。硬質の為傷が付きにくく、収縮率も針葉樹よりは低いと言われておりますが一方で針葉樹よりは温かみが無く、加工性能はやや劣ります。針葉樹と広葉樹、比較して解説致しましたがいずれも無垢材なので長い目で見ると必ず反らない訳ではなく長所もあれば短所もあるのでご検討の際は質感や色味などお確かめ頂きお好みの無垢フローリングを探しましょう。

4.隙間が発生しにくい挽板という選択肢

チーク 挽板フローリング 施工事例

これまで100%天然素材である無垢フローリングの収縮や反りによる変化に関して解説してきました、無垢材の性質を理解する一方反りにくい木質のフローリング材はあるのか?といったテーマで解説していきます。

挽板フローリングとは?

挽板フローリング カットサンプル
挽板フローリング 図

「無垢フローリングだと隙間が気になる」、「無垢フローリングは床暖房対応していない」などデメリットや規格の不一致で無垢フローリングの選定を諦めないといけないと感じる方も多いのではないでしょうか。
近年木質フローリング界隈の技術革新により反りにくく、床暖房対応可能な木質フローリングがあります。それは挽き板(ひきいた)フローリングと呼ばれ2~4mm程度の無垢材単板に合板を張り合わせたフローリングで自然環境保護への意識が高いヨーロッパを中心に無垢フローリング材の代替として広く普及しております。挽板フローリングは合板基材を張り付けている為収縮や膨張を抑え、隙間が出来にくく無垢フローリングのネガティブなポイントを解消している木質フローリングでございます。

挽板フローリングの特徴

施工イメージなど見ると一見無垢フローリングと見分けが付かない挽き板フローリング、特徴としてよく挙げられる箇所は下記の通り。

挽板フローリング 杢目
挽板フローリング カットサンプル
  • ・湿度や温度変化に伴う膨張や収縮が少なく施工後でもフローリングの隙間ができにくい。

  • 幅広材(120㎜~190㎜)を使用でき意匠性に優れている。

  • ・膨張や収縮が少ないため多くの商品で床暖房設備での対応が可能である。

  • ・質感は無垢フローリング同様、足触りを体感でき節や杢目を確認できる。


ブラックチェリー複合フローリング 施工事例

「挽き板(ひきいた)」や「挽き板フローリング」という言葉はあまり一般の方には認識がない言葉ではないでしょうか。挽き板とは、無垢の木材を薄くのこぎりで挽くという言葉が由来しています。


挽板フローリング一覧

床暖房の温度変化による反りや膨張、収縮を軽減基材には合板を使用し床材表面には2~3mmの無垢材の挽板を重ね合わせています。挽板フローリング表面には全てオスモオイルが塗装済み。

5:無垢フローリングのお手入れ方法 

無垢フローリングを寄り長く親しみの有る床材としてご活用頂くためには表層のケアをすることが重要なポイントとなります。簡単なお掃除方法、表層が乾燥した際のメンテナス方法をご紹介いたします。

[ウレタン塗装/UV塗装 無垢フローリングの日々のお手入れ方法]

ウレタン塗装を施した無垢フローリング材は、掃除機で塵やごみを取り除くだけで結構です。どうしても水拭きが必要な場合には中性洗剤を薄めて硬く絞り汚れを取り除いてください。艶だしを目的としたフロアーワックス等をご使用の際にウレタン塗装専用のワックスを使用して事前に試し塗りを行い艶感を確認した方が良いでしょう。

        

通常のお掃除方法 お掃除の際の注意点 メンテナンスワックスの使用
◎掃除機
◎雑巾乾拭き
◎ドライシートでのお掃除
〇雑巾での水拭き
※雑巾を固く絞って使用する
通常の掃除機でのお掃除や雑巾がけ等で問題はありません。水分や液体をこぼした際には速やかにふき取る事。 頻繁にワックスを使用する必要はありません。使用する際はウレタン塗装専用で試し塗りをして艶感を確認する。

[自然塗装/オイル塗装 無垢フローリングの日々のお手入れ方法]

浸透系の自然塗装を施した無垢フローリング材は、通常の掃除機で表面のごみやほこりを取り除いてください。表面の自然な艶感がなくなってきたら自然塗装専用のワックスやオイルでメンテナンスすることにより自然な艶感と保護性能がよみがえります。

        

通常のお掃除方法 お掃除の際の注意点 メンテナンスワックスの使用
◎掃除機
◎雑巾乾拭き
◎ドライシートでのお掃除
△雑巾での水拭き
※雑巾を固く絞って使用する
通常のお掃除方法でOK。表面にオイルが塗装されていますので水拭きの頻度は少な目で。化学薬品の使用はNGです。 オイル塗装用の専用メンテナンスワックスで定期的に油分を与えることで質感と保護性能を保つことが出来ます。

無垢フローリングにおすすめオスモワックス

オスモ ワックス&クリーナー

無垢フローリングのメンテナンスと聞くと敷居の高いように思えますが、オスモ社が販売しているオスモワックス%クリーナーは汚れ落としとワックスがけが出来る万能メンテナンス商品です。ワックス&クリーナーを塗布し乾いた布で吹き上げるだけで、艶感や撥水性など高め無垢フローリングの表面保護性能を持続させます。手軽にメンテナンスが出来るのでお勧めしております。

5.まとめ

如何でしたでしょうか、無垢フローリングの反りや収縮などの変化・性質について解説させて頂きました。反りや収縮、膨張は無垢材にとっては当然の変化であり例え高級銘木でも全く動かないことは無いといったことをご理解頂きつつ、果たして無垢材にとって良質な環境なのか?を考えていかなくてはなりません。日常生活で十分にケアすることが我々人間にとって、住環境にとっても恩恵があり怠ってしまうと、デメリットやリスクと取れるシーンに直面してしまいますので、無垢フローリングを採用される前後、施工後の無垢フローリングの知識としてご活用頂ければ幸いでございます。特性やケアする面を踏まえ無垢フローリングライフをお楽しみください。

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