キッチンに無垢フローリングを採用して良いのか?【無垢床Q&A】
2023.01.20
無垢床Q&Aシリーズ第6弾、2023年最初の記事は無垢フローリングをキッチンに採用して良いのかどうか?お施主様や工務店のコーディネイターさんによく聞かれる内容で「ネットで見たらやめたが良いと言った口コミを見た」、「デザイン的にリビングと一緒のフローリングにしたい」などあらゆるご意見を耳にします。
今や家事は夫婦兼業の時代かもしれませんが、キッチンに立たれる比率が高いのは奥様なのは間違いなく日々の掃除方法は無垢を採用した際今までのフローリング同様大丈夫なのか?など施工した後のフローも含めて解説していきましょう。
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1.キッチンに最適な床材を選ぶ上でのポイント
先ずキッチンに最適な床材を挙げる前に、快適であると思われるポイントを4点挙げてみました。以下のポイントを踏まえて解説していきたいと思います。
掃除やお手入れのしやすさ
第一に挙げられるのが掃除やお手入れのしやすさ、キッチンは床面の中でも特に水気や油分などが発生する場所でございます。水回りの中でも日々より入念に掃除をしたい場所なのでは無いでしょうか。いつも清潔に保ちたい、汚したくない等ご意見が多いスペースでございます。
滑りにくく・硬すぎない
料理・キッチンで作業をする際硬い・柔らかいなど足元のニュアンスはかなり重要で足腰の負担をケアしていかなくてはなりません。また高齢者のご家族やお子様がいらっしゃるご家庭では、滑りやすい床材ですと転倒のリスクや思わぬ怪我にならぬよう選定して行かなくてはなりません。
足の冷え対策
日々キッチンで作業をしていると意外と足を動かす機会が無いのか、冬場は足の冷えが気になる方も多いはず。スリッパを使う・マットを上質なものになどなど工夫はございますが出来れば暖かい床面が理想だと感じます。ポイントを上げていくと分かるのですがキッチン意外と滞在時間が長い場所でございます。
リビング・キッチンユニットとのデザイン性の調和
既製品でもオーダーでもキッチンにフォーカスを当て選定する際のご相談で最も多いのが、キッチンユニットとLDK部の床材のお色や質感が合っているのかどうか。キッチンメーカーのショールームに行くと色んな質感や素材・お色のキッチンがあり「床面に光沢がありすぎると変ですか?」「キッチンは決まっているのですが床材のお色合ってますか?」などデザイン性の観点から自信が無い等のお問い合わせを頂きます。主観的に好みだと感じるのであれば問題無いのですが後で後悔しないよう、いろんなキッチンと床材の配色を想定して行かなくてはなりません。
2.素材別キッチンの床材比較
キッチンに使用する床材に求めるポイントを挙げさせていただきましたがでは実際どういった床材があるのでしょうか。よく選定する際に挙げられる床材を簡単にご紹介させて頂きます。
フロアタイル
フロアタイルとは塩化ビニール素材の床材であり近年DIYブームもあってかコストパフォーマンスに優れ簡単に施工可能であり人気の床材です。軽くて水気に強い為トイレ部や洗面スペースなどにも使用されます、デザイン性も優れており豊富なパターンと質感があり価格帯も幅広い為使い勝手の良い床材です。
タイル
タイルとは陶磁器製の建築材料を指し古くから玄関の床面やお風呂の壁面・床面に使われてきました。キッチンにおいても壁面・床面に使うことが多く防水性や耐久性が高く経年による変化も少ないのが特徴でございます。デザインや規格によって価格帯の幅がありますが、他床材と比較すると概ね高価な傾向にありますが内装デザインにおいて床材としての質感からアクセントやリズムを生み出すことが出来ます。
無垢フローリング
無垢フローリングとは無垢の木材を切り出しフローリング材として形成した床材であり単層フローリングとも呼称されます。無垢の木材100%で製造する為、価格帯は樹種や規格によって大きく変わるのが特徴です。水気には弱いですが天然木が故の恩恵である木質感と温かみは木質フローリングでしか表現出来ない魅力がございます。
挽き板(複合)フローリング
挽き板フローリングとは表層の化粧部分には2~3mm程度の無垢材を使用している合板フローリングです。見た目には無垢フローリングと見分けが付きにくく無垢材の木質感と合板基材の機能性を併せ持っているのが特徴です。床暖房対応の規格も多く、幅が広く木質のフローリングをご検討の際は一度は手にして頂きたい床材でございます。
3.キッチンに無垢フローリングを採用して良いのか?
大まかにキッチン部に使用される床材をご紹介させて頂きました、次項からは本題であるキッチンに無垢フローリングを採用する上での検討するポイントと併せて解説させて頂きます。因みに無垢フローリング〜と題しましたが問わず木質フローリングに該当する内容となっております。
無垢フローリングをキッチンに使用する際のデメリット
水気に弱い為対策する必要がある。
各キッチンに使用する際のフローリングでもご紹介した通り木質のフローリングは水気に弱い性質があります。水分を吸収し放置した際に水染みになったり、さらに放置すると黒ずみやカビの原因となる為充分にケアをして頂く必要があります。
キッチンマットを使用する、水気をこぼした際に早急に拭き取るなど水気の対策を考慮していく必要があります。又後ほどご紹介致しますが表層の塗装によっては定期的なメンテナンスが必要でございますので思わぬトラブルにならぬよう、水気のケアを念頭において頂きご検討下さい。
湿気や温度によって収縮や反りが生じる場合がある
無垢材の特質上、日々呼吸を行うため季節によって収縮を行う為反りや歪みが生じます。居室内の環境によって千差万別でございますが、稀にケアを怠ると突き上げや歪みの原因となる可能性があります。
キッチンスペースであれば換気や適切なお掃除を行い湿気が滞留しにくい環境づくりを心がけることで、トラブルのリスクを抑えることが出来ます。無垢フローリングをご検討の際は樹種問わず無垢材は変化が生じる点を念頭に置き選定ください。
表層の塗装によって定期的にメンテナンスする必要がある。
後述致しますが然オイル塗装のフローリングに関しては、経年した際表層の油分が抜けていく為1年〜1年半に1度メンテナンスワックスを使用し油分を補給する作業が必要となります。
無垢材の質感を最大限に堪能出来る自然オイル塗装ですが、メンテナンスする必要がある点をご理解の上他床材とご検討下さい。
無垢フローリングをキッチンに使用する際のメリット
木質感や温かみを感じることができる
無垢材の最大の特徴である木質感は快適な足触りを演出し、保温性や断熱性が高い為過度に冷たさを軽減することが出来ます。
無垢の木材内部には無数の導管があり石やコンクリートには無い「程よい踏み心地」や「温かみ」があります。踏み心地という面では柔らかい針葉樹(杉や桧、マツ)が優れ、広葉樹(オークや栗、胡桃)は耐久性に優れています。また、肌さわりの面においては無垢フローリング表面の塗装もウレタン塗装より自然塗装の方がおすすめです。
傷がついても修復出来る
シートや突板と呼ばれる工業製品のフローリングに関して傷が付き経年すると表層が剥がれ張り替えを余儀なくされるケースが多々ございますが、無垢フローリングは床材全て木材の為傷がついた際表層を削りリペア(修復)を行うことが出来ます。
傷やシミがついた際味わいや個性と捉えそのままにされる方もいらっしゃいますが、どうしても気になる場合は表層を研磨し塗料を施すことでさらに味わいのある無垢フローリング材を堪能することが出来ます。
木材の香りと自然の恩恵である調湿効果
木材は元々我々人間や動物のように動けない為害虫や菌類が寄りつかないようにフィトンチッドという香り成分を樹木の幹や葉から発散することで知られております。フィトンチッドは我々人間にとってリラックス効果やストレス軽減、免疫力促進の効果が期待できダニの繁殖を抑制する効果があるなど近年注目されている香り成分でございます。
無垢材は人が不快に感じる空気中の水分を木材が吸ったり吐いたりしてくれている為適度な調湿機能を兼ね備えており、人体にとって害がある湿気や空気中の成分を緩和させる特徴があります。無垢材を選定される方の中で健康志向の方に注目される理由の一つであると考えられます。
4.無垢フローリングをキッチンに採用する際の表面の塗装
キッチンの床材を剪定する際表層の塗装に関してご相談されることが多く、塗料によって良し悪しがあり快適な環境を想定する上でどのポイントを重要視するのかよくお話しさせて頂きます。無垢フローリング界隈の中で代表的な2種の塗装の特徴をご紹介させて頂きます。
ウレタン(UV)塗装
ウレタン(UV)塗装とはウレタン系の塗料に紫外線を照射して化学反応により無垢フローリングの塗膜面を硬化させる手法から一般的にUV塗装と呼ばれています。無垢フローリング表装面の保護を目的に施される塗膜系塗装仕上げとしては最も一般的な塗装方法とされております。
表面に塗装の膜を施している為水気や衝撃に強くキッチン部の床材に適しているポイントと言えますが、湿度を通さないため無垢材の呼吸を止め、反りや曲がり、割れなど無垢材の欠点を補強する反面、無垢材の調湿機能等の効果はあまり期待できません。素足で歩いた時に感じる質感も表面の塗膜により冷たいく、表層の塗膜により視覚的にツヤ感が出る点が特徴と言えます。
自然オイル塗装
自然塗料とは、自然由来の油成分や蜜蝋などの主成分を原料に配合された塗料を指します。無垢材の表装面に付着して木材の表装面を乾燥や水滴から優しく守り、日常生活で付いた軽微なキズなどを目立ちにくくする効果が期待できます。健康に配慮した商品が多く何度でも手軽に塗装を施すことができるという利点がありますが、フローリング表装面の保護という観点では塗膜系塗装同様の効果は期待できません。
自然塗料を施すことによりフローリング表面の自然な杢目の表情を際立たせる効果もあるため、視覚的にも自然派志向が高い近年では多くの自然塗料が日本で取り扱われ人気があります。天然由来の成分である原材料で構成されていることが多く、ドイツなどの環境基準先進国などから輸入されるオスモ社、リボス社などの製品が有名です。
5.無垢フローリングの塗装別メンテナンス方法
ウレタン(UV)塗装、自然オイル塗装2種ご紹介させて頂きました肝心な日々の掃除方法や経年した際のメンテナンス等どのようにしたら良いのでしょうか。次項では無垢フローリング表層の塗装別適切なお掃除、メンテナンス方法をご紹介致します。
[ウレタン塗装/UV塗装 無垢フローリングの日々のお手入れ方法]
ウレタン塗装を施した無垢フローリング材は、掃除機で塵やごみを取り除くだけで結構です。どうしても水拭きが必要な場合には中性洗剤を薄めて硬く絞り汚れを取り除いてください。艶だしを目的としたフロアーワックス等をご使用の際にウレタン塗装専用のワックスを使用して事前に試し塗りを行い艶感を確認した方が良いでしょう。
通常のお掃除方法 | お掃除の際の注意点 | メンテナンスワックスの使用 |
---|---|---|
◎掃除機 ◎雑巾乾拭き ◎ドライシートでのお掃除 〇雑巾での水拭き ※雑巾を固く絞って使用する | 通常の掃除機でのお掃除や雑巾がけ等で問題はありません。水分や液体をこぼした際には速やかにふき取る事。 | 頻繁にワックスを使用する必要はありません。使用する際はウレタン塗装専用で試し塗りをして艶感を確認する。 |
[自然塗装/オイル塗装 無垢フローリングの日々のお手入れ方法]
浸透系の自然塗装を施した無垢フローリング材は、通常の掃除機で表面のごみやほこりを取り除いてください。表面の自然な艶感がなくなってきたら自然塗装専用のワックスやオイルでメンテナンスすることにより自然な艶感と保護性能がよみがえります。
通常のお掃除方法 | お掃除の際の注意点 | メンテナンスワックスの使用 |
---|---|---|
◎掃除機 ◎雑巾乾拭き ◎ドライシートでのお掃除 △雑巾での水拭き ※雑巾を固く絞って使用する | 通常のお掃除方法でOK。表面にオイルが塗装されていますので水拭きの頻度は少な目で。化学薬品の使用はNGです。 | オイル塗装用の専用メンテナンスワックスで定期的に油分を与えることで質感と保護性能を保つことが出来ます。 |
6.まとめ.キッチンに無垢フローリングを採用して良いのか?
如何でしたでしょうか、キッチンに無垢フローリングを採用する上でのご注意して頂きたいポイントやメリット・デメリットをご紹介させて頂きました。キッチン部床張りする面積は少ないのですが、生活する上ではどういった点を重要視するのかで意匠性や使い勝手が変化していく部分かと思います。無垢フローリングを販売する立場ですが必ずしも無垢といったご提案はしておらず、お施主様の生活用途によっては別の素材が良いのでは?といったお話もさせて頂いたりどうしてもデザイン的に納得出来ないのでリビングと同じ無垢フローリングですがキッチンはウレタン塗装にするといったお施主様もいらっしゃいます。どの床材の種類であっても良し悪しがあるので充分ご情報を比較した上で、ご検討いただくと幸いでございます。