【職人直伝】フローリング捨て貼りとは?施工方法と流れ

無垢フローリング捨て貼り

弊社サイト内でもご紹介させていただいておりますフローリングの施工方法、しかし実際に施工するとなると実際職人さんや施工会社によって方法は異なりどういった手順で行う、注意したい箇所など経験則が補っている点も多いにあると考えられます。前回はフローリングの上張り方法を解説させて頂きました、沢山のお問合せ有難うございました。(※前回の施工レポートは下記よりご覧ください。)

特集

2022.03.14

無垢フローリング上張りとは?職人直伝の施工方法をご紹介

弊社サイト内にて図解で解説させて頂いております無垢フローリングの施工方法。主に下地を用いた張り込みに関してご案内しておりますが今回は上張りといって既存フローリングの上に張り込みを行う方法を田中工房さま監修の元実際に施工を行いながら解説頂きました。

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今回も福岡にて人気大工さん田中工房さま監修のもとフローリングの捨て貼り方法の流れやご注意頂きたい点をしっかり解説していきたいと思います。

今回レクチャーして頂く先生

田中氏

田中工房/田中さま

Profile:関西の老舗リフォーム会社にて施工歴20年以上の経験。
耐震補強工事や無垢材を使った改築を長年監修しており造作工事など木工事を得意としている人気親方。

1.フローリング捨て貼りとは?

先ず捨て貼り工法をご紹介する前に抑えて頂きたいのが、現場でよく行う張り方(施工方法)の種類。主に現場で扱う床張り工法はおおまかに下記の3種に分別されます。

  • ・工法①上張り工法
  • ・工法②捨て貼り工法
  • ・工法③ネダレス工法

フローリングの張替えを行う際は現況に対してどのような張り方が好ましいのか職人さんが判断致します。ただ床を張るといった進め方では無く床面・床下の状況、ご予算や施工を行う期間などお施主様とお打ち合わせしたのち施工を行います。上記のいずれかどういった工法を行うのか先ずご検討頂くのがフローリング張替えの第一歩となります。

具体的にどの張り方がありどういった特徴があるのか端的に解説致します。

工法①上張り工法

上張り工法

上張り工法とはその名の通り既存床面より新たに床材を張っていく工法です。上から張っていくのみの作業となりますので上記3つの工法の中で工程が短く、施工費用は既存床解体費・処分費など発生しない為安価な点が特徴となります。

部分改修やスピード感を求められるリノベーションの際に使われる施工方法でありますが、既存床の高さが上がる収納(クローゼット)や建具の下部をカットしないといけない等床面以外の造作材を調整する必要が発生致します。

工法②捨て貼り工法

捨て貼り工法

捨て貼り工法とは根太と呼ばれる床下構造材の上に12mmの下地合板を設置した後床材を張り込んでいく工法です。無垢フローリングを使う現場では最もオーソドックスな工法と言えます。因みに捨て貼りとは下地用合板(コンパネ・針葉樹合板)を張り付ける作業の総称でございます。下地材や材木を多く使う為コストがかかり施工期間も長いと言えるでしょう。

根太上の下地は床下からの湿気や冷気を遮るよう、又床鳴りや軋みなどの施工後の不具合を軽減する特徴があります。手間こそかかりますが、床面の強度をあげる・下地材からリノベーションする際によく使われる工法の一つです。

工法③ネダレス工法

ネダレス工法

ネダレス工法とは根太を使わず厚みのある下地合板(24mm以上)の上に床材を張り込んでいく施工方法です、剛床工法とも呼称されます。根太や大引きなど従来の工法では構造資材が沢山必要なのですが、ネダレス工法は必要資材が少ない為施工期間の短縮も容易でありコストも安価と言えるでしょう。

近年の新築住宅などではネダレス工法を採用している傾向にあり、耐震の観点から横揺れや歪みに強い特徴がありますが反面厚みのある合板を使う影響で通気性の問題や張り込む場所によっては下地より下部が空洞化している為音が響きやすくなるなど充分なケアが必要です。

    フローリング捨て貼りとは?

  • ・根太上に下地用合板を張り付け釘と接着剤を使い床材を張り付けていく工法。
  • ・根太の間隔は303mmピッチ、下地合板として厚さ12mm以上。
  • ・無垢フローリングを張り込む際最もオーソドックスな工法。

2.フローリング捨て貼り工法の流れ

前項ではおおまかに3種施工する方法を解説致しました、下記より床面のリノベーションを行う際の手順を解説致します。捨て貼り工法を採用された現場なのですが大まかな手順としまして下記3つの順序にて施工を行います。

  • ①既存床解体
  • ②下地材張り込み
  • ③無垢フローリング張り込み

では具体的にどのような作業を行っているのかレポートしていきたいと思います。

既存床解体

解体

先ず既存床材を解体致します、背景として既存床が経年し傾斜が出て表面も傷んでいた為水平にし下地を張ったのち新たに無垢フローリングを張り込む為床面を下地から新調する目的がございます。因みに解体前のお部屋の漢字は上記の通り。

旧フロア

以前お施主様が一度床材のリフォームされた経緯があり、懐かしいレトロなフロア。施工している物件は約築30年ほどの戸建。昔は景気が良かったので派手で華やかなデザインが多かったのでは?と田中先生がつぶやきます。ジグソーやノミを駆使しフローリングを切り刻みつつ、床面を壊していきます。

巾木解体

床面全て解体するのですが巾木部(部屋の側面下)も解体していきます、新たに床張りする床材にあうような巾木も後程施工していきます。わたしも解体のお手伝いをしたのですが解体する作業って黙々と部材を壊す作業以外と性にあったようで、あっという間に下地材が出てきました。

下地材の張り込み

下地材の張り込み 図

解体を終えた後綺麗に掃除し下地材の張り込みの工程に移ります。撮影失念したのですがレーザーで水平を出したのち、下地用合板を張り込んでいきます。

下地材の張り込み 完成

部屋の長手方向に下地材を張ると納まりが良かったので、長手方向にて下地材を張り完成。解体のち下地材があることで段々部屋っぽくなっていきます。

フローリング材の張り込み

カバ桜無垢フローリング

下地材を綺麗に張って頂いたところでようやくフローリング張りの工程へ、床材は部屋の印象を大きく変えるので内心かなり楽しみな瞬間の一つです。

今回張っていくフローリングは上記の通り、カバ桜無垢フローリングの源平120mm幅オイル塗装。カバ桜は白色の綺麗な見た目に加え質感がさらさらなので奥様が決めたとのこと、価格もリーズナブル(4,954 円/㎡(税込))で節が無いので人気商品の一つです。源平とは樹穆の中心(芯材)と外側の材(辺材)が混在しているという木材用語、カバ桜の源平は白い箇所が辺材で赤い箇所が芯材で無垢材感を嗜める規格なのです。

フローリング材の状態を確認する

フローリング材の状態を確認する

カバ桜のフローリングを張る前に、床材自体がどういった状態なのか確認していきます。少々反り気味なのか、どういった表情をしているのか田中先生は確認されるそうです、冬場は乾燥し湿度が少ない為無垢材が収縮している状態。梅雨時期は湿気があり集成材でも反ったりしているので、先ず状態を確認されてから施工されることをお勧めしております。

一列目は凹凸に合わせてフローリング材をカットしていく

凹凸に合わせてフローリング材をカット

床材の状態を確認後いざ床張りしていく工程です、張り込み1列目お部屋の側辺の箇所は凹凸が有る為、凹凸に合わせてフローリング材をカットしていく工程があります。このカットする工程が慣れていないと意外と難しい作業なのです。凹凸の箇所をカットしたり、張り込んでいくうちに使わないフローリング材が出て来るのでロス分10%程加味する必要があります。

ボンド塗布

ボンド塗布

一列目ボンドとネイラーで床材を固定していきます。ボンドをフローリング材につける際、周囲のコードや工具につかないよう配慮されているとのこと。ボンドが工具につき床材表面についてしまうと、除去するのがかなり大変なので作業する周囲を整理整頓しつつケアするのがポイントだそうです。

コニシ ボンド

因みに使用しているボンドは田中先生が愛用されているコニシさまの床職人、ウレタン樹脂系無溶剤形でF★★★★を取得しているボンド。稀にお問合せ頂くのですが木工用ボンド(酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形)はボンド内に含まれている水分が蒸発して硬化するタイプなので無垢材が水分を吸収してしまい床鳴りや歪みの原因となるので使用しないでください。

ネイラーで固定する

ネイラーで固定

フローリング材裏目にボンドを塗布し、下地材においたのちネイラー(釘)で固定していきます。ネイラーを打つ角度は雄ザネの角斜め45度を狙い打ち込んでいきましょう。角度が浅いと雄ザネを割ってしまったりフローリング材側面破損する原因となります。安全と正確性をキープする為左手でフローリング材を固定しネイラーを打ちこんでいきましょう。

1列目最終列の長さを計りカットする

最終列の長さを計りカットする

1列目最終列はスケールで長さを計りカットし張り込む工程で、職人さんのセンスが発揮される箇所の一つです。最終列は慎重に作業を行いましょう。

2列目以降も同じ要領で

3列目

2列目以降凹凸をカットする作業が無いので、黙々と張り込みを行います。張り込んでいくうちにお部屋の輪郭がはっきりしていきます。仕上がり楽しみな気持ちもあるのですが不完全な現況も確認しておくとさらに愛着が湧く空間になるのでは?と感じました。

床張り最終列

最終列

最終列は短手方向スケールを計りカットする工程です、最終列の納まりも職人さんの匠の技の見せどころです。短手方向にカットしたフローリング材にボンド塗布したのち斜めから収め床材上部にネイラーを打ちこみます。

床張り完成

床張り完成1

クラシカルな合板フローリングからカバ桜フローリングに張替え完了致しました。床面もフラットになりデザイン面も良好、カバ桜の歩き心地も気に入られたようでお施主様完成具合随分と喜んでおられました。

床張り完成2

今回は20ケース分床張り(2F部廊下・洋室2箇所)したのですがロス分5%分加味しカバ桜フローリング2.5枚程残りました、ほぼジャストで田中先生ノーミスで床張り完了されておりました。

    フローリング捨て貼り工法の流れまとめ

  • ・無垢フローリングはロス分5-10%程加味する必要がある。
  • ・無垢フローリング材の状態を確認する。
  • ・ボンドを塗布する作業場所は整理整頓が必須。
  • ・ネイラーは雄ザネ部斜め45度で固定していく。
  • ・床張り1列目と最終列は慎重に。

3.フローリングの4種類の貼り方と特徴

これまで実際にフローリングを捨て貼り施工の流れをレポートしていきました、次項からは床張りと言えども多様な張り方があり、張り方にも幾多のデザインが存在します。下記よりフローリングの張り方の種類や特徴関して解説致します。

張り方①定尺張り

定尺張り

定尺張りとは同じ長さに揃えた床板1列ごとに間隔をずらす張り方でございます。

また「1尺ずらし」「3尺ずらし」と間隔をずらす長さによって呼称が異なります、定尺張りの主な特徴は1列おきに短手方向につなぎ目が揃う為、床面の見た目はスッキリとした印象になります。定尺で揃えてカットしていくのでフローリング材のロスが多くなります。1枚ものの無垢フローリングを綺麗に張りたい・見せたい方はお勧めの張り方です。

張り方②乱尺張り

乱尺張り

乱尺張りとは異なる長さのフローリング材を張っていく工法でフローリングの継ぎ手の位置がランダムになることにより自然なフローリングの表情が生まれやすくなります。

無垢フローリングのユニ(uni)タイプを張る際乱尺張りを行う現場が多く、無垢材の表情を楽しみたい方向けの張り方でございます。一列目を張り終え余った材を2列目の頭に張り付けるのでフローリング材のロスが出にくく定尺張りのようにきちんと揃える必要が無い為施工難易度はご紹介する中では一番敷居が低いと思われます。

 

張り方③斜め張り

斜め張り

斜め張りとはご察しの通りフローリング材を斜めに張り付けていく床張り方法です。床面にパターンを求める際に一番最初に候補に挙がってきやすい張り方と言えます。

壁面やインテリアなどに対して斜めのパターンが入ると床面を強調する見え方になる為銘木(ウォールナット・チーク)などを斜め張りされる方が多く、ラグジュアリーな印象や非日常を求める空間に最適な張り方なのではないでしょうか。斜めに床張りした際はカットする箇所が多い為ロスが多くなる傾向です。

 

張り方④へリーンボーン張り

へリーンボーン張り

へリーンボーン張りとは魚の骨に似ていることから魚のニシン(herring)骨(bone)というデザインパターンの呼称。短くカットした床材をV字になるように組みあわせ張り付けていきます。日本の伝統的織りの模様として「杉綾(すぎあや)」と同様のパターンです。

ヘリンボーン張りは歴史的な建造物に使われてきた背景から「優雅」「豪勢」な印象を与えることができますが、選ぶ無垢材の種類の色味によって若干シーンは異なってきます。

 

トリプルヘリンボーン

トリプルヘリンボーン

ヘリンボーン張りの中でも組み方によって呼称があり3枚を1ユニットとして45度に張り付ける「トリプルヘリンボーン」

 

ブラックウォールナット フレンチヘリンボーン

ブラックウォールナット フレンチヘリンボーン

木口を斜め45°に切り落として矢羽状の形にしたのちを張り付けていく「フレンチヘリンボーン」など面白いデザインパターンが存在します。お洒落な張り方として魅力的なヘリンボーン張りですが見た目の通り工期と予算と材料ロスが発生致します。張り手間が懸念されますが近年技術革新の恩恵により、小口を切る必要が無く既に1ユニット右用・左用とカット済みのフレンチヘリンボーンフローリングがございます。

気になる方は下記より2種オークとブラックウォールナットのフレンチヘリンボーンをご紹介しておりますのでお手すきの際にご覧ください。

①フレンチヘリンボーン ヨーロピアンオーク(ナラ・楢)複合フローリング

②フレンチヘリンボーン アメリカンブラックウォールナット複合フローリング

4.フローリング捨て貼りの流れをご紹介まとめ

如何でしたでしょうか、フローリング捨て貼りの流れを田中工房・田中先生監修の元ご紹介させて頂きました。フローリングを新たに張るといっても様々な工法があり加えて面白い張り方のパターンがあり、床面は壁面に次いで施工面積が多い為空間の印象がお色や樹の種類で変わります。

もしフローリングの張替えをご検討頂いている方は、様々工法があり工法次第で工期やコストが変わるといったご認識を頂き今後のご自宅の床面に手を入れる際の知識としてお役立て出来れば幸いです。無垢フローリング専門店キャスオンラインショップでは無垢フローリングをご検討頂く方のために弊社商品3種まで無料でサンプルを全国発送しております。以下より無垢フローリング一覧(床材ラインナップ)を掲載しておりますので気になる床材がございましたら是非カットサンプルをお手に取って頂き質感をご堪能下さい。

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