無垢フローリングの節の多さで変わる印象と価格【無垢床Q&A】
2023.01.18
無垢床Q&Aシリーズ第7弾は無垢フローリングの節に関して、節について一挙解説する前に節がある樹種や建築物をイメージするとまず木材に関しては杉や松などイメージされる方は多いのではないでしょうか。建築物に関してはログハウスやキャンプ場のバンガローなど節がある木材を使って作っているイメージです。
「節の有無について」と言うとかなりニッチなテーマに思えますが市場やトレンド、意匠設計においてはかなり重要なポイントであり節の多さで価格が変化などかなり身近なテーマかと思います。勿論無垢フローリング問わず家具や木材製品(食器・楽器)全般共通の内容ですのでこちらの記事をご一読されたあとにご自身の身の回りの木材製品を見渡して頂ければと思います。
目次
1.木材の節とは?
先ず節(ふし)とは木の成長過程において沢山の日光を浴びる際枝葉をつけ光合成を行った際に木の枝が幹に巻き込まれた箇所を指します、木の枝があった箇所とも言えますね。木材製品として加工した際節にも下記のように状態によって名称がございます。
生節(いきぶし)
生き節とは木の枝の部分が生きている間に幹の中に枝が取り込まれた時にできた箇所を指します、幹の組織と繋がっている健全な状態の節です。
死節(しにぶし)
死節とは、枯れた枝が幹の中に巻き込まれ出来た節であり幹の組織と枝の組織が繋がっておらず、成長出来ず幹の中に閉じ込められた状態の節です。強度が弱い為脆く加工した際抜け落ちていくこともございます。
製材過程で抜け落ちていく事象を「抜け節」と言います。
節のある箇所は硬く、ヤニが出やすい為施工・木材加工を行う際節のない部分と比べると手間がかかり対して節が無い箇所は手間がかからない為節が少ない程高価となります。節が入っている割合や大きさなどによってグレーディング(等級)によって分けられております。次項では等級の名称についてフォーカスしていきます。
2.木材の等級
無節(むふし、むぶし)
無節とは節のあるなしを基準とした等級の中で最高級と言われております。意匠面において見た目の美しさから人が良く行き来し目につく場所(玄関・応接間)などの柱や天井材・床材などに用いられます。
上小節(じょうこぶし)
無節の下の等級は上小節と言われ稀に小さい節が少量入る程度の状態を指します。直径約10mm以下で1mに1個程度以内が基準とされております。
小節(こぶし)
小節とは上小節よりもさらにもう少し大きめの節が少量入る程度の状態を指します、直径約25mm以下で1mに1個程度以内が基準とされております。
木材を選定する上で節が入る割合で等級としてカテゴライズされます、日本古来受け継がれてきたものであり先人の美的感覚や加工要領により決められた等級であると言えます。以前は木造住宅が主流で有った為木材の選定はシビアであり木材の目利きに長けている方が木材市場にいたと思えば、山の状態を見て木材の資源の状態を見る方もいらっしゃるなど活況に満ちた業界だったことが伺えます。上記等級は大まかにご紹介致しましたが当時の現場の方からするともう少し細かに分かれていたとのことですが深度が深すぎるとテーマあら逸脱するので次項から無垢フローリングのグレーディング(等級)に関してフォーカスしていきましょう。
3.無垢フローリング材のグレーディング(等級)
無垢フローリング材のグレーディングとは?
無垢フローリング材は原材料を選定する段階で節や白太の有無、色味などによって選別を行います。選別基準のことをグレーディングと呼びます。グレーディングは、樹種と同様に無垢フローリング材の価格を大きく左右します。
[Aグレード]プライムグレード
基本的に節がない部分の無垢材を切り出し無垢フローリング材として製造されます。色むらの比較的に少ない芯材部分の割合が多く、寸法安定性にも優れた傾向にある。
[Bグレード]セレクト/ナチュラルグレード
節部分や白太(辺材)を含むグレード。色むら等のばらつきの差が大きく無垢材らしい表情が出やすい。部分的に入り皮や節を補修したパテ埋め処理が施されている。
[Cグレード]ラスティックグレード
大部分に大小様々な節や白太(辺材)を含むグレード。色のばらつきや木目の差が大きく入り皮や随芯も含まれています。全体的に大きな節を含み、節の補修に樹脂やパテによる補修が施されています。
無垢フローリング材の価格はどうやって決まるのか?
無垢フローリング材の価格は、「木の種類」「グレーディング」「規格」の3つの要素を掛け合わせ価格を左右しています。無垢フローリング材の価格帯が多岐にわたるのは非常に多くの木材の種類に加えグレーディングや規格という要素が組み合わさっているからなのです。
無垢フローリング材の木の種類と価格の関係とは?
参照図:代表的な床材の樹種を価格と硬さの相関関係図
無垢フローリング材は、木材の種類によって価格が大きく変わります。世界中で需要があり人気の樹種の価格は評価され上り、その逆は下がります。世界的に評価の高い樹種には以下の傾向があります。
[世界的に評価の高い樹種の傾向]
-木目が美しく意匠的や見た目の良い樹種
-木材の加工がしやすく寸法安定性が高い樹種
-伐採量に対して人気や需要が高い樹種
-広葉樹や南洋材の硬い無垢材は、床材以外にも家具や楽器といった需要があり高価な傾向
これまで樹種やグレーディングや価格に関して解説してきましたが無垢フローリング材の規格に関しては下記より詳しく書き記しておりますのでお気になさった方は是非ご覧ください。
4.節の有無による樹種別人気の傾向
前項の解説からグレーディングが低い=人気が無いといった訳ではなく「節が適度に入った方が好み」「節が少ない方がカッコ良い」など個々の主観で意匠性やお部屋ごとのイメージに合うかどうかご検討いただくケースが多く、無論価格帯に応じてご検討される方もいらっしゃいます。次項では節の有無による印象に加えて樹種別人気の傾向に関して解説していきます。
無垢フローリングの節の有無による印象
無垢材は「自然の産物」であるがゆえに木目や節や色など我々人間の視覚や脳裏に無いパターンやデザインを作り出しております。人に与える印象を木目や節・木の彩度など下記の図にてまとめてみました。
京都大学「木材と感性」を参考に筆者作成
上記の通り簡単にまとめると節や色ムラが多く鮮やかな無垢材の表層ですと派手・刺激的など視覚的に感じることができ反対に節や色ムラが少なく低色彩の場合均質で上品など印象を与えることができます。例えば落ち着いた空間をイメージされている場合は節が少なく、低彩度の樹種を選定などイメージして頂くと良いかと思いますが、木の種類等大まかに知って頂く必要がある為後述させていただきます。
因子 | 大もしくは有りの場合のイメージ | 小もしくは無しの場合のイメージ |
---|---|---|
年輪層 | 粗野な、派手な | 均質な | 早晩材コントラスト | 粗野な、派手な | 均質な、上品な |
柾目 | すっきりとした | – | 板目 | 動きのある | – |
明度 | 明るい、現代的な | 落ち着いた、重厚な | 彩度 | 派手な | 渋い |
色相 | 派手な、豪華な | 飽きない、スッキリとした | 節 | 自然な、ワイルドな | – |
京都大学「視覚と木材」を引用
上図は参考までに「視覚と木材」を一部引用させていただいております、お好みの空間が何故良いと思うかを因数分解すると色調や杢目が個性的なのか、落ち着いているのか、節が少ないのか多いのかなど点と点を抑えることでどういった無垢フローリングを選んだほうが良いかアイデアの近道になるはずです。これまで「グレーディング」「節の有無」について解説してきましたが次項から肝心な樹種に関してカジュアルにご紹介して参りたいと思います。
節有り人気の無垢フローリングの樹種
では節や色むらが多い樹種は何が人気なのでしょうか?弊社サイトにてサンプル請求や実際の販売統計をまとめて人気の傾向をご紹介してまいります。
パイン無垢フローリング
節や色むらなど無垢材の表情が多い樹種が好みの方はパイン材をお求めになる方が多い傾向にあり、ログハウス風の戸建やフレンチカントリー風の邸宅、最近ですとキッチンカーやキャンピングカーの床面に使って頂くなどまさに「自然派」な方々に人気があります。
ローコストな価格も非常に魅力的な樹種であり弊社サイトにて展開しているボルドーパインはいわゆる針葉樹の松(パイン)と比較すると堅牢性が高く、原産国のフランスは木材の塗装・加工技術に優れている為フランス特有の美的コントラストを堪能することが出来ますので節有りの無垢材をご検討の方々にオススメな樹種でございます。
オーク無垢フローリング
オーク材は言わずと知れた無垢材の中では王道的な樹種であり、数年前リノベーションブームの最中ローコストで節ありのオークはどの現場でも確認した樹種の一つでございます。硬さや施工性能は申し分無くオーク本来の中性的な色味やコントラストはあらゆる内装材(クロス・キッチン)やインテリアと調和してくれる為、とても重宝されておりました。
勿論今でも絶大な人気を誇りリノベーション完了済みの物件や販売中のマンション等お邪魔すると見かける機会も多く、長らく人気を誇る樹種だと言えます。無垢材の樹種の剪定の際に迷った時はオーク材を一度手にされるのをオススメしております。
アカシア無垢フローリング
アカシア無垢フローリング特有のコントラストの深さ(茶-焦茶)と節感が人気で2010年代後半から市場人気が加熱し、重宝されてきた樹種でございます。外国産材において違法伐採やSDDsなど懸念される中計画的に植林をしているベトナムやインドネシア産のアカシアが多くエコロジーな樹種として近年注目されております。
安価ながら寸法安定性が高く衝撃・曲げに対しても強く耐久性に優れ腐りにくい特徴を持っており、手に入りやすことから最近では賃貸物件や美容室やヨガスクールの床面などに採用されております、杢目や色相はかなり個性的だと言えますがあらゆるシーンにフィットする万能な樹種でございます。
節が少なめ人気の無垢フローリングの樹種
次に節が少なめの樹種のご紹介でございます。
チーク無垢フローリング
チーク材の特徴である赤茶系の色味・コントラストは居住空間においてなど活躍するシーンは多岐に渡り高級名木の一角として長らく人気を博してきました。高級感漂う杢目や色調の美しさからホテルや空港のラウンジなどラグジュアリーなシチュエーションで多用され無垢材の中でもステータスを象徴する樹種として位置付けられております。
チーク材は経年変化がわかりやすい樹種として知られ施工後、チーク材の表層が空気に当たった際樹脂が酸化していき木材内の道管や細胞内に堆積した炭酸塩などが浮き出てくるミネラルストリークといった事象を目の当たりにすることができ数ヶ月経過後全体的にチーク独特の優しい飴色の色調に変化していきます。
ブラックウォールナット無垢フローリング
ブラックウォールナットは北米を代表する広葉樹で高級家具材や床材でも人気の樹種であり世界三大銘木(ウォールナット・チーク・マホガニー)の一角を担う高級品で、濃紫色の木肌が特徴的な木材です。落ち着きある中に時折見せる複雑な木目と、黒淡紫のグラデーションが自然物でしか作り出せない表情がとても味わい深い印象を空間内に与えてくれる樹種でございます。
無垢材でありながら茶~黒褐色の深い色味を持ち、他の木材では代用がきかない為にその希少性が高く評価されており衝撃や摩耗にも強く、加工性が優れている為高級家具材としても多く利用されております。木肌は適度な油分を含む為触り心地も良好であり原木を見ると無骨な印象ですが繊細さを兼ね備えている点もウォールナットの特徴だと言えます。
ブラックチェリーフローリング
ブラックチェリーは北米東部の温暖な地域に生息する広葉樹で世界三代名木同様高級家具材・建具などに使われてきた銘木です、赤褐色の色彩豊かな木肌が特徴的であり空間をコーディネートする際は和洋問わず選定されることも多くオーク材同様協調性が高い木材でございます。
鮮やかな見た目同様触り心地も優しく、経年するほど艶が増していき特徴的な赤褐色のコントラストが深くなっていく様子が人気であり根強いファンが多い樹種です。
5.無垢フローリングの節の多さで変わる印象と価格まとめ
如何でしたでしょうか、同じ樹種でも節の有無によって表情や使用(施工)する際のシーンに多大なる影響がある点お分かりいただけましたでしょうか。また節が多いほど安価になり反対に少なくなる程希少性が増し高価になっていきます。無垢フローリングをご検討する際カットサンプルをお手にとっていただく機会があるかとは思いますが取り寄せたメーカー様のグレーディングであったり規格をご確認いただいた上で価格の比較や実際どういった事例があるのかなどご確認頂くと、ご希望の空間に一歩近づくのでは?と思います。