床が傾いている?原因と改修の流れ【無垢床Q&A】

床 傾き

無垢床Q&Aシリーズ第8弾は床面の傾き(傾斜)に関して、築年数が古い物件をご検討・購入されたお施主様よりご相談が多い内容であり「無垢フローリングを検討しているもそもそも床面が若干傾いているのでそのまま張って良いか?」「良い条件の中古戸建が見つかったのですが床面が傾いている」「床面の下地をやり替える方法を教えて下さい」などご相談を頂きます。

床面のみ傾いていればなんとか条件によってはやりようが有るのですが住宅ごと傾いているのであれば中々購入に踏み切る・リノベーションすることは容易では無く今回は床面が傾いている場合の確認方法やよくある対処方法等解説していきます。

1.床の傾きと住宅の傾き

床の傾き

先ず床面の傾きといってもタイトルの通り建物自体が傾いているのか、部屋ごとの床面が傾いているのか確認して頂く必要があります。中古戸建を検討されている際はインスペクションや住宅の診断にて、床面の傾斜等確認することが出来るのですが、現況の状態で購入した・住宅を相続した際は調査を依頼する必要がございますが建物自体の傾きの原因は以下が挙げられます。

  • ・地盤が沈んでいる
  • ・建物の構造に異常がある
  • ・シロアリなど害虫による被害

地盤が沈んでいる

地盤沈下

地盤が沈んでしまうことで建物自体に傾きが生じてしまいます、原因として地震等災害が起こることで地盤が変化し地中から噴きだした水の影響で泥となり液状化といった事象が起こります。液状化は地震が発生しなくても人為的に水をくみ上げることで起こる事象でもありますが災害にて発生するケースは多いようです。

他にも用水路や河川など水源が近い、湿度が多い山林などは地面が傾くケースも多く築年数が古い物件を調査した際に見かける機会もございます。そもそも地面が傾いているので建物に傾斜が付いているといった例です。

建物の構造に異常がある

構造異常

家を建築する際に突貫工事や柱の位置など無謀な建て方を行った際に傾いていくといったケースがございます。新築時から明らかに傾いている場合は施工業者等に確認を取り改修する流れ等ございますが、ある程度時間が経過したのちに傾くこともあり構造による傾きなのか、建物や構造の老朽化に伴う傾きなのか調査が必要になります。

建物自体の傾きでは無く、床材・下地材の腐食でございますと床材・下地材の張り換え施工にて修繕が出来る可能性もあるのですがいずれも調査機関にて一度ご自宅を見て頂く流れになります。

シロアリなど害虫による被害

シロアリの主食は木材と言われておりますがコンクリートですらも穴をあけてしまうほど強力で一度住処にされると実害が伴います。建物が傾くほどシロアリ被害にあっている稀なケースかもしれませんがが、構造部分シロアリ被害にあってしまうと白アリ駆除を行ったのちに補強や修繕が必要となります。

中古住宅を購入する際は住宅インスペクション診断にて以前シロアリ被害にあったかどうか確認出来るのですが、床下調査が義務出ない為リノベーションされる際は予め施工業者等に見て頂くことをお勧めしております。

    他にもある?傾きの原因

  • 傾きの原因は多々あり、大きな道路に面した戸建ですとトラックなど大型車両の振動が度重なって老朽化とともに傾きが生じたり積雪地帯ですと雪の影響で地盤が変化し傾いたりと河川や用水路の例を挙げましたが建物が所在する周辺環境によっても影響されると言われております。何故住宅が傾いてしまうのかは住宅の構造なのか、環境要因なのか、外的要因なのかチェックが必要となってきます。

2.床が傾いていたら生活に影響が有るのか?

では床に傾きが有った際日常生活にどのような問題が生じるのでしょうか、実際にご相談があった事例をご紹介させて頂きます。

健康被害

        

傾斜角 健康障害 文献
5/1000 傾斜を感じる。 藤井ほか(1998)
6/1000 不同沈下を意識する。 藤井ほか(1998)
8/1000 傾斜に対して強い意識、苦情の多発。 藤井ほか(1998)
1/100程度 めまいや頭痛が生じて水平復元工事を行わざるを得ない。 安田・橋本(2002)
安田(2004)
~1/60 頭重感、浮動感を訴える人がある。 北原・宇野(1965)

建物の傾きによる健康障害 – 日本建築学会より参照

床面の傾きによって気分が悪くなった、吐き気がする、乗り物酔いのような状態になったなど報告が挙げられ平衡感覚に異常をきたすものと言われております。

ご相談の多くは築年数が古い物件を購入した、内覧した際、お施主様の実家など老朽化や床下の下地や根太による傾きだった為施工業者さまに改修して頂き傾きは改善でき問題無く住まわれているとのことですが
上図のように傾斜がつくほど健康被害が確認されております。

天井材のずれ・壁面に亀裂

壁面に亀裂

床面に傾斜がついていると天井材のずれ・壁のひび割れが生じます。2F建ての住宅の場合お部屋の一部の天井がずれており隙間が空く事象を確認出来ます。

さらに室内の壁面に亀裂が入っていたり、外壁にもひび割れが生じます。壁面にトラブルが生じていた際建物自体の傾きの可能性が高く、既に日常生活に影響を及ぼしているケースが多く早急に傾き対策を考える必要があります。

建具の動作不良

建具の動作不良

健康被害や外壁等比べると一番分かりやすいのが建具の動作不良です。居室内を行き来する通路の建具、収納・クローゼット等の建具の開閉がスムーズに出来ず、鍵のかかり具合も悪いと言った事象が起こります。

建物や居室ごとに傾きがある場合、建具部は影響を非常に受けやすく床面に傾斜が有った際は確認しやすいポイントと言えますが築年数が古いと建具自体の動作不良も考えられますので注意が必要です。

3.床の傾きを確認する方法

床面に傾斜があれば、人体や生活において様々な影響を受けるほか長い目でみて建物自体にも影響がございます。では床面の傾きを正確に確認する方法はあるのでしょうか、次項より傾きを確認する方法を解説致します。

水平傾斜計

トラスコ 水平傾斜計

建築に携わっていない方はあまりお目にかかる機会はないかもしれませんが簡単に傾きが分かるツールといえば水平傾斜計が挙げられるでしょう、水平傾斜計とネットで調べると沢山出て来るのですがデジタルの傾斜計がお勧めでございます。

価格もお手頃であり計測も簡単、職人さん達が使っているレーザーの計測系を使い壁面から床面を計測していくのですが手っ取り早く確認するにはデジタル計測器が良いでしょう。

ゴルフボールやビー玉を転がす

ゴルフボール

最も原始的かつ簡単な確認方法として球体を転がす方法です。居室ごとに転がすとどちら側に傾いているか分かる程度であり正確性は欠けます。

念入りに傾きがあるお家中を転がしていると、早く転がる箇所・ゆっくり転がる箇所が分かりますが正確に確認されたい場合は計測器をご利用下さい。

 

スマホアプリ傾き計測器

スマホアプリ 計測器

最も近代的なツールと言えばスマホアプリの計測器となります。多くのアプリ計測器では床面に置くだけで傾斜が分かり、壁面の角度も計測が出来ます。

又お部屋の距離を計れたりや計算ツールなどもありますので、何かと便利なのはスマホアプリですがレーザー計測器と比べると大体の計測となる為あくまで手軽に傾斜を確認する方法となります。

 

4.傾いた床は改修できるのか?

では傾きが確認されたら早急にどこかに依頼し修繕できるものなのでしょうか。答えは建物自体の傾きなのか、構造¥による傾きなのか、床材による傾きなど傾きの要因によって修繕方法や施工費用や修繕する期間など大きく変わってきます。次項から原因ごとの傾きを改善する際の流れを解説していきます。

建物自体の傾きの改修

建物自体の傾き

冒頭にも解説した通り地盤が沈んだ、変化した際建物自体に傾きが生じます。建物下の地盤の変化を調査する際は地盤が弱い箇所、強い箇所を先ず確認致します。

地震や液状化などによる地盤が軟弱化している場合は地盤ごと補強を行います。地盤が強く片側だけ沈んでいる場合は土台からジャッキを使用し建物を持ち上げる工法が一般的です。いずれも地盤が強いか・補強する範囲によって工法が変わっていく点が重要となってきます。

床下の基礎からの改修

床下の基礎からの改修

建物自体が傾きの原因では無かったら既存床下を確認します。施工不良や経年による大引から劣化しているのか?大引の上の根太部分から傾きが生じているのか調査を行います。

床下基礎部の施工不良が原因で根太がきちんと止められていなかったので、床材が浮いている状態になったり、施工時水平レベルを取っていなかった為傾きの原因となったりとしているケースも有ります。

よくご相談頂く床下基礎からの改修は根太部の劣化や施工不良が多いので、ピッチ幅(根太を止めていく幅)を修正し根太を揃えたり傾きが大きいと根太をやり替えたりする方法が一般的です。

床材や下地材の改修

床材や下地材の腐食

床材や下地材の改修は仕事柄ご相談が多く、経年劣化や湿気による床材や下地材が痛んだり腐食していることが原因で床材が浮いたニュアンスや床鳴り、最悪の場合陥没など見かける機会が多いです。もはや傾きどころではないお客様もいらっしゃいました。

湿気などによる腐食は下地材を交換し新たに床材を張り込む作業となります。床材と下地材の張替えが主な作業となりますが、張替不可・傾きが浅い現場は既存床より上張りし傾斜を調整する流れになります。

5.床面の傾きの許容範囲や水準

最後にそもそも床面が傾いているにも関わらず売買物件として販売されていたり、築浅購入後床面の傾斜を確認されたりと傾きに対してのルールはないのか?といったご相談を頂きます。一般的な数値だけでお伝えするとすれば新築は3/1000と言われ中古住宅は6/1000がボーダーと言われており、ホームインスペクション(既存住宅状況調査)では※「瑕疵(かし)がある可能性が高い」と報告される数値は6/1000以上の傾きがある場合といわれております。

6/1000といっても分かりづらい数値ですが、1mにつき6mmほど傾斜があるといった解釈でございます。※「瑕疵(かし)がある可能性が高い」の瑕疵とは建物の売買契約においてに何らかの欠陥・不具合があり品質や性能が損なわれている状態のことを指します。6/1000以上の傾きの場合地盤による傾きなのか、建物の構造による傾きなのか等原因を早急に突き止めリフォームを検討されることをお勧めしております。

6.床が傾いている?原因と改修方法の流れまとめ

如何でしたでしょうか、床の傾きと言えど状況によっては大規模な修繕が発生する可能性があり床面の傾き具合によっては健康被害が顕著に表れ、建物自体にも負荷がかかってきます。床面に傾斜を感じた場合は施工会社や調査機関等に見て頂き原因を突き止め床面のリノベーションをされることをお勧めしております。

  • ・住宅の傾きは地盤の傾き・住宅自体の構造による傾き・床下基礎の傾き・床面の傾きがある
  • ・床が傾いていたら建具屋壁面、設備に影響しめまいや吐き気など健康被害にあう
  • ・床の傾きを手軽に調べるツールがある
  • ・傾いた床は原因によって改修方法が異なる
  • ・傾きの許容範囲は3/1000〜6/1000がボーダーラインと言われている

ページトップへ

   無垢フローリング床材専門店 キャスオンライン All rights reserved