[床材の種類で比較 用途別床材おすすめガイド]
2021.11.20
フローリングや床材の種類は、非常に多岐にわたりその特徴も様々です。新築住宅やリノベーション、店舗の内装など様々な用途で使用される床材は、意匠性や住み心地を左右するだけに慎重に選びたいものです。ここでは、フローリングを含めて床材の種類や特徴、価格の目安などについて解説していきます。豊富な床材の種類からその特徴を理解して納得できる床材選びにお役立てください。

目次
- 1:フローリング・床材の種類や特徴について
- 1-1:床材で最もスタンダードな「木質フローリングの種類や特徴」
- [フローリングのメリット&デメリット] ワンポイントアドバイス!
- 木質フローリング4タイプ
- ①突板フローリング(タイプ:複合フローリング)
- ②シートフローリング(タイプ:複合フローリング)
- ③無垢(むく)フローリング(タイプ:単層フローリング)
- ④挽き板(ひきいた)フローリング(タイプ:複合フローリング)
- 「突板?無垢?見分け方とは?」
- 1-2:タイルやクッションフロアなど その他の床材の種類や特徴
- クッションフロア(CFシート)/フロアタイル
- [クッションフロア/フロアタイルのメリット&デメリット]ワンポイントアドバイス!
- タイル・石材
- 「タイル・石材のメリットデメリット」ワンポイントアドバイス!
- 畳
- 「畳のメリットデメリット」ワンポイントアドバイス!
- カーペット
- 「カーペットのメリットデメリット」ワンポイントアドバイス!
- 2: フローリング・床材の広さの基準 m²(平米)、坪、畳とは?
- 2-1:m²(平米、へいべい)とは?
- 2-2:坪(坪)とは?
- 2-3:畳(じょう)とは?
- 3:フローリング・床材の価格の目安は?
- 4:お部屋や用途で変わるおすすめの床材とは?
- 5:まとめ

1:フローリング・床材の種類や特徴について
床材には一般的な木質のフローリング材からクッションフロア、フロアータイル、タイル、石材、畳、カーペットなど様々な種類が存在します。それぞれの床材には適した用途があり、その価格や意匠性も様々です。床材ごとの特徴を理解して用途ごとに適した床材選びをすることが大切です。
[フローリングのメリット&デメリット] ワンポイントアドバイス!
一般的な住宅や店舗などに最も多く利用されているフローリング材は、居住空間に最適です。居住空間に適した高い意匠性や質感が最大の魅力です。ただし、下足を前提にしているため土足や水気の多い場所ではクッションフロアやフロアータイル、タイルなどを使用する方がおすすめです。
1-1:床材で最もスタンダードな「木質フローリングの種類や特徴」
住宅や店舗などで床材として最も一般的に使用されるのが木質フローリング材です。ホームセンターなどでも気軽に購入できる床材です。ただし、木質フローリングにも種類があるのをご存じでしょうか?
木質フローリングには大きく分けて以下の4つのタイプのフローリングがあります。
木質フローリング4タイプ
- ①突板(つきいた)フローリング
- ②シートフローリング
- ③無垢(むく)フローリング
- ④挽き板(ひきいた)フローリング
それぞれのフローリングごとに長所や短所を含む特徴を持っています。4つのフローリングがそれぞれ持つ特徴について解説していきます。
①突板フローリング(タイプ:複合フローリング)


突板(つきいた)フローリングとは、合板基材などに0.2~0.5mm程度のスライスした無垢材を接着した複合フローリングです。大量ロットでの生産が可能で大手建材メーカーが主体的に販売しています。色味や塗装など各メーカーごとに様々なラインナップがありホームセンターなどでも手軽に購入できます。
②シートフローリング(タイプ:複合フローリング)

シートフローリングとは、合板基材などに木目やタイル調の印刷したシートを接着した複合フローリングです。近年の印刷技術の向上により本物のような木目やタイルのようなフローリングから一見してシートとわかるフローリングまで様々なラインナップがあります。こちらも大手建材メーカーが主体的に販売しており、ホームセンターなどで気軽に購入できます。表面のシートの印刷には制限がないので突板や無垢と比べ豊富なラインナップが最大の特徴です。
③無垢(むく)フローリング(タイプ:単層フローリング)

無垢(むく)フローリングとは、木材から切り出した無垢材をそのままフローリングに加工した床材です。表層及び内部まで同一の樹種で形成されることから専門的には単層フローリングと呼ばれます。無垢フローリングは、節や色むらといった木材の特性がそのまま床材に反映されています。突板やシートフローリングのように大量ロットでの生産ではなく、原材料の範囲でしか生産できないといった面も大きく違います。無垢材特有の木材のグレーディング(等級)などが存在し、同一の樹種であっても色味のコントラストや価格にもばらつきがあります。無垢フローリング材は、大量生産が難しく専門性が高いためそのほとんどが専門メーカーで取り扱っており、パイン材や杉材といった比較的安価な無垢材はホームセンターなどでも購入可能です。
④挽き板(ひきいた)フローリング(タイプ:複合フローリング)

挽き板(ひきいた)フローリングとは、2~4mm程度の無垢材を合板基材に貼り合わせた複合フローリングです。無垢材の高い意匠性と複合フローリングの機能性を併せ持つハイブリッドタイプのフローリング材です。自然環境保護への意識が高いヨーロッパを中心に無垢フローリング材の代替として広く普及していき、近年では意匠性の高さと床暖房等への対応が可能なことから日本の大手建材メーカーの最高級ラインナップなどに加わって広く普及しつつあります。
フローリングの名称 | 特徴など | その他の違い |
---|---|---|
突板フローリング | 0.3~0.5㎜程度の無垢材単板を合板基材に接着したフローリング | 大手建材メーカー品が主流で大量生産が可能。着色での色味のラインナップも豊富 |
シートフローリング | オレフィンシートや樹脂シートの印刷シートを合板基材に接着したフローリング | 大手建材メーカー品が主流、より工業製品に近く大量ロット生産木目や石目調など色柄などの種類や機能性も豊富。 |
無垢フローリング | 内部まで同一樹種のフローリンググレード、色むらなど木材特有の長所や短所もある。 | 木材の種類やグレーディングによって特徴も異なる。小~中規模ロットでの生産が主流。 |
挽き板フローリング | 2~4㎜程度の無垢材挽板と合板基材を接着した複合フローリング。無垢の質感と複合フローリングの機能性を併せ持つフローリング | 無垢フローリング材に近く小ロットでの生産が主流。床暖房対応等の付加価値がある。 |
「突板?無垢? フローリングの見分け方とは」
一般的にはわかりにくい突板や無垢フローリングの見分け方のポイントは3つです。

- 「フローリングの断面の違い」
- 「フローリングのサイズの違い」
- 「フローリングの色味や質感の違い」
断面やサイズといった点は、施工前の素材として寸法や構造といった違いから判断できるポイントです。色味や質感は、施工後でもフローリングの種類を判断する見分け方として覚えておくと良いでしょう。
突板フローリング | 突板フローリング | 無垢フローリング | 挽き板フローリング |
---|---|---|---|
床材の断面 | フローリング表面の無垢材単板の厚みは0.3㎜前後 | フローリング内部まで同一の無垢材となっている。 | フローリング表面の無垢材単板の厚みは3㎜前後 |
床材のサイズ | 長さ:1820㎜ 厚み:12㎜ 幅:303㎜ |
長さ:1820㎜ 厚み:12~15㎜ 幅:90~120㎜ |
長さ:1820㎜ 厚み:12㎜ 幅:12-~180㎜ |
色味や節感 | 節などは含まれず、色むらが少なく着色による色味の種類も豊富だがコントラストは短調。 | 節など天然木の特徴を含み、色むらがあり多様な色味と奥深いコントラストがある。 | 無垢材と同等の質感だが、色むらや色味のコントラストは無垢フローリングよりも少ない。 |
1-2:タイルやクッションフロアなど その他の床材の種類や特徴
床材には木質フローリング以外でもタイルやクッションフロアなど様々な種類が存在します。それぞれの特徴と併せて解説していきましょう。


「クッションフロア(CFシート)/フロアタイル」
クッションフロアやフロアタイルとは、合成樹脂の塩化ビニールなどを主原料として工業的に生産されるビニール系の床材です。木目調や石目調など様々な柄や色味の商品があります。接着剤で簡単に施工でき、水気に対して耐性があるので商業店舗や住宅の水回りなどでも多く使用されています。クッションフロアは比較的に弾性があり踏み心地が柔らかく、逆にフロアタイルは硬度があり傷に強いといった違いがあります。
[クッションフロア/フロアタイルのメリット&デメリット] ワンポイントアドバイス!
ビニール系のクッションフロアは弾力性があり糊付けで施工できるのでコストメリットの高い床材です。水気に強いので住宅の脱衣場や賃貸アパートなどで多く利用されます。摩耗や傷に対する耐性は高くないので傷に対する耐性を求める場合は硬質系のフロアタイルがおすすめです。

「タイル・石材」
タイルや石材といったセラミック系の床材の最大の特徴は、水気や傷に強い事です。石や鉱物を主原料とするタイルや石材は環境の変化に対する耐性も高く、他の床材に比べ経年での劣化が少ないといったメリットがあります。工業的に大量生産されるタイルと天然の鉱物である石材は、フローリング同様に価格や特徴もそれぞれ違います。
「タイル・石材のメリット&デメリット」ワンポイントアドバイス!
タイルや石材などのセラミック系床材の最大のメリットは、経年変化が少なく傷や摩耗、水気に強い事です。土足を前提とした玄関や外部にも適しています。意匠性に優れており様々な種類や柄が存在します。ただし、施工には専門の左官作業が必要で天然石の石材等は、天然素材で非常に高額な商品も存在します。

「畳」
畳は、日本古来のイグサなどを用いた和風の床材です。主に和室などに利用されますが、近年では正方形の琉球畳や汚れにくい紙や樹脂素材の畳なども流通しています。畳は弾性に優れ踏み心地が良く長時間の居住空間に適していますが、一般的な居住空間では和室やリビングの一部に使用されるケースがほとんどです。
「畳のメリット&デメリット」ワンポイントアドバイス!
畳の最大のメリットは、居心地の良さや快適性ではないでしょうか。弾力性に優れており足腰に負担がかかりにくいという長所があります。デメリットとしては、日焼けや摩耗に伴う表面の張替えが必要です。本格的な畳は厚みがあり施工する際には床面の下地レベルの調整が必要です。
「カーペット」
カーペットは、一部の事務所やオフィスなどで床材として利用されます。住宅などでは施工性やお手入れなどの観点から取り外しが可能なラグやカーペットが多く利用されています。
「カーペットのメリット&デメリット」ワンポイントアドバイス!
カーペットは、表面の毛足により寒さや熱さから私たちの生活を優しく保護してくれます。一般的な居住空間では取り外しができるタイプがほとんどですが、一部店舗や事務所などで下地に接着したタイプのカーペットが使用されます。掃除に手間がかかりハウスダストなどの問題があるというデメリットがあります。
2:フローリング・床材の広さの基準 m²(平米)、坪、畳とは?

2-1:m²(平米、へいべい)とは?
建物や間取りの広さを表す最も一般的な広さの単位としてm²(平米・へいべい)の単位が用いられます。単純に1m×1m=1m²となります。フローリング材の価格を比較検討する際にも最も有効な基準の単位となります。例えば、フローリング材の1ケースあたりの梱包枚数や広さは規格や商品によってまちまちです。そこで1ケースあたりの㎡単価で価格を検討すると簡単にフローリング材の価格を比較することが出来ます。建物の間取りや広さを表す最も一般的な基準となる単位なので理解しておくと大変便利です。

2-2:坪(坪)とは?
土地や間取りを表す単位として一般的なのが坪という単位です。m²(平米・へいべい)と同様に国内で頻繁に使われる単位といえます。現在の基準では3.31m²=1坪という表記が一般的です。大工さんや施工業者さんもフローリング材の広さを表す単位で○○坪という表現をされる方が多くいらっしゃいます。ただし、m²(平米・へいべい)の基準がより正確で一般的なので、間取りの広さなどを計算する際には坪よりもm²の方が良いでしょう。

2-3:畳(じょう)とは?
日本古来の畳の大きさから畳数(じょうすう)を使用される方もいらっしゃいます。ただし、関東や関西などの地域によってたたみの1畳分の広さの基準が違う為、近年では1.65m²=1畳といった表現が一般的です。おおよその広さとしては半坪=1畳と覚えておくと良いでしょう。ただし、坪換算と同様にm²単位を基準として法がより正確で間違いは少ないでしょう。
3:フローリング・床材の価格の目安は?
フローリングを含む床材は、種類が豊富で価格も様々です。床材選びの参考に価格の目安として参考にしてみてください。
木質フローリング
タイプ | 価格の目安(m²単価)※施工費は含みません | 床材ごとの主な用途 |
---|---|---|
シートフローリング | 3,000円~5,000円/m2 | 住宅 アパート マンション リノベーション住宅 店舗など |
突板フローリング | 3,000円~6,000円/m2 | 住宅 アパート マンション リノベーション住宅 店舗など |
無垢フローリング | 4,000円~12,000円/m2 | 住宅 アパート リノベーション住宅 店舗など |
挽き板フローリング | 6,000円~13,000円/m2 | 住宅 アパート リノベーション住宅 店舗など。 |
その他の床材
タイプ | 価格の目安(m²単価) | 床材ごとの主な用途(一般住宅等で使用する際の場所) |
---|---|---|
クッションフロア CFフロア |
1,000円~2,000円/m2 | 賃貸アパート 事務所 店舗など (脱衣場) |
フロアタイル | 1,500円~3,000円/m2 | 賃貸アパート 事務所 店舗など (脱衣場 キッチン回り) |
床用 タイル | 3,000円~10,000円/m2 | 輸入住宅 店舗 (脱衣場 キッチン回り 玄関) |
石材 | 8,000円~30,000円/m2 | マンション 輸入住宅 店舗 (玄関) |
畳 | 5,000円~15,000円/m2 | 和風住宅 (和室) |
4:お部屋や用途で変わるおすすめの床材とは?
床材は、用途や使用する場所によって向き不向きがあります。ここではお部屋や用途ごとにおすすめの床材を解説しています。

[住宅]
リビング・寝室 居室
リビングや寝室など意匠性と機能性が求められる空間ではやはり木質フローリングが最も多く使用されます。リビングは特に内装の顔となる場合が多いのでデザイン性と機能性などの要素が求められます。
おすすめの床材:◎木質フローリング(突板・シート・無垢・挽き板フローリング)
トイレ・脱衣場
トイレや脱衣場など水気を伴う場所では耐水性やお掃除のしやすさなどの機能性が重視されます。多くの場合タイルやクッションフロアなどがおすすめです。
おすすめの床材:◎タイル・クッションフロア(CFシート) ◎タイル
玄関(靴脱ぎ場)
玄関は、土足を前提とするので傷や汚れ、水気に対する耐性などが求められます。最も一般的な床材はタイルや石材などのセラミック系の床材が使用されています。
おすすめの床材:◎タイル ◎石材

[アパート]
アパートなどの賃貸住宅では、居住者の入退室が頻繁に想定されます。頻繁な手直しなどを想定して施工性やコストが重視されるため、クッションフロア(CFシート)やフロアタイルなどが多く使用されています。木質フローリングを使用されることもありますが、傷や汚れに対する耐性の高いシートフローリングが使用されています。
おすすめの床材:◎シートフローリング ◎クッションフロア(CFシート) ◎フロアタイル

[事務所]
事務所やオフィスといったお仕事を目的とした場所では、土足と下足の両方が想定されます。
土足の場合のおすすめ床材:◎クッションフロア(CFシート) ◎フロアタイル 〇カーペット
下足の場合のおすすめ床材:◎木質フローリング(突板・シート・無垢・挽き板フローリング)
◎クッションフロア(CFシート) ◎フロアタイル 〇カーペット

[商業店舗]
商業店舗では、意匠性や機能性、耐汚性などそれぞれに店舗の優先順位によって好まれる床材が大きく分かれます。お店の雰囲気や用途によって傾向が大きく変わるので住宅よりも幅広い床材が使用されています。
意匠性や質感重視でおすすめの床材:◎木質フローリング(突板・シート・無垢・挽き板フローリング)◎タイル ◎石材
施工性やコスト面重視でおすすめの床材:◎クッションフロア(CFシート) ◎フロアタイル
5:まとめ [床材の種類で比較 用途別床材おすすめガイド]
床材は、用途や使う場所によってそれぞれ適した床材が存在します。見た目の意匠性や居心地を求められる場合の質感、傷や汚れに対する耐性などそれぞれに適した床材を選ぶことが大切です。床材ごとの長所や短所を理解して適材適所で床材を選びましょう。